5G通信キャリア対決!NTTドコモ vs. KDDI

実効速度100倍、低遅延、多接続可能な5Gは、通信のみならず社会のインフラ全体を変える。その主役となるキャリア各社も、技術面、体制面で着々と準備を進めている。トップを走るNTTドコモと、追いかけるKDDI(au)の現状を見る。

5Gが変える、通信事業者の未来

実効速度100倍、伝送遅延がなく、1平方キロメートルあたり最大100万台の機器が同時接続できる次世代通信規格、5G。かつてない大容量・超高速通信は、暮らしや娯楽のスタイル、そしてビジネスの構造をも変える。

2017年2月、NTTドコモはスポーツ動画配信のDAZN(ダゾーン)と提携、KDDI(au)は2018年5月、ネットフリックスと提携した。動画配信サービスの登場は、テレビ離れとスマホでの動画視聴を加速するとともに、データ通信量の増大をもたらす。2017年の国内動画配信市場は前年比13%、5年で約2倍に拡大し、移動通信量は年間3割ペースで増え続けている。NTTドコモも、KDDI(au)も、データ通信の最大速度を毎秒1ギガビット近くにまで高めた。すべては、5Gによる新サービス創出と、携帯依存のビジネスモデルからの脱却を見据えた動きだ。

通信キャリアの一般ユーザー向け携帯電話事業は、利用者数の伸びの鈍化や、政府の料金値下げ圧力などに直面している。5Gは、通信キャリアが他の業種との協業でリーダーシップをとることによって、車の自動運転や遠隔操作など、非通信分野での事業領域を拡大し、新たな収益源を開拓するためのテクノロジーとなる。

例えばNTTドコモは、2018年2月、和歌山県立医科大学病院と、都内ドコモ本社の診療所を5G回線で結んで遠隔医療の実証実験を行った。都内の患者を和歌山県の医師が診察して、患部接写映像やエコー映像などを同時伝送するという内容だ。4Gの場合、こうした映像の同時伝送には遅延が伴うが、5Gでは患部を目の前にしているのと変わらない映像が得られる。5Gには、医師が不足する過疎地や離島の医療問題を解決できる可能性があるわけだ。

同じく2018年2月、KDDIは、大林組やNECとともに建機を5G回線で遠隔操作する実証実験を実施している。パワーショベルでブロックを積み上げる作業の所要時間は、5G伝送映像を使うことで現行の無線LANを使う方法より100秒短縮できた。5Gは、人が入れない場所での災害復旧などで遠隔操作の機動性を向上するだけでなく、建設現場の労働環境改善などにも道を拓く可能性があるということだ。

5Gは、移動通信の地平を拡大するのみならず、社会インフラそのものも変え、社会課題解決に貢献するポテンシャルをも秘める。通信キャリアの果たす役割は大きい。

両社概要

NTTドコモ

営業開始日 1992年
本社 東京都千代田区
代表 吉澤 和弘(代表取締役社長)
資本金 9,496億7,950万円(2017/3/31現在)
従業員数 7,767名
主な事業と
関係会社
●通信事業:携帯電話、光ブロードバンド、
 衛星電話、国際、端末販売等
 ・ドコモCS
 ・ドコモ・サポート 他3社
●スマートライフ事業:動画・音楽配信、電子書籍、
 金融・決済、ショッピング等
 ・タワーレコード
 ・マガシーク 他11社
●その他:補償、システム開発・販売.保守等
 ・ドコモ・データコム 他6社

出典:同社ホームページ、有価証券報告書

 

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