千葉市・熊谷市長 新産業で先行、改革の起点は「理想」を考える力

最先端技術の活用やスピード感のある官民連携の推進など、数々の先進的な都市戦略で成果をあげている千葉市。さらなる展開に向けて、熊谷俊人市長は今後、どのような施策を打ち出していくのか。熊谷市長のインタビューを2回にわたってお届けする。

熊谷 俊人(千葉市長)

国家戦略特区を活用し、
最先端技術の実証実験

――千葉市は国家戦略特区を活用し、ドローンをはじめ、さまざまな先端テクノロジーの実証実験を進めています。他の自治体も実証実験に取り組んでいる中で、千葉市の特徴はどういった点にありますか。

熊谷 千葉市は幕張新都心において、ドローンによる宅配等の実証実験を進めており、昨年は地上配送ロボットと組み合わせてマンションの個宅まで荷物を届ける実験も行いました。

他の地域では、ドローン宅配の実験は山間部や離島などで行われていますが、それは交通が不便な場所での課題解決を目指すものです。一方で千葉市の実証実験は、幕張新都心という都市部を舞台にしているところに大きな意義があります。企業にとっては、都市部で実用化の見込みが立たないと、ビジネスとして成立しづらく、投資意欲も湧きません。千葉市の実証実験は、福祉よりもビジネス的な側面に比重を置いています。

現在の法律下でドローン宅配を実現するには、第三者上空、目視外、補助者無しという3つの条件をクリアする必要があり、人が密集する都市部でそれを実現するのは大変です。手続きは煩雑でコストがかかるため、実験を繰り返すのは容易ではありません。

山間部や離島が実証実験の場として選ばれる理由は、そうしたハードルが低いからです。しかし、そのような地域ばかりでやっていたのでは、いつまでたっても社会は変わりません。千葉市で結果を出せれば、企業が参入しやすくなり、大きな社会的インパクトがあります。

ただ、千葉市におけるドローンの実証実験は、当初の計画と比べると、進捗が遅れているのも確かです。国家戦略特区法の改正、サンドボックス制度(イノベーション促進のために、一時的に規制を停止する制度)創設の動向などを見ながら、課題を一つ一つ解決してスピードを上げていきます。

ドローン宅配で想定している用途の1つが医薬品です。今、遠隔診療は少しずつ増えていますが、遠隔で診療を受けられても服薬指導は対面で行わなければならず、一気通貫のオンライン医療が実現されていません。

また、医薬品はすぐに欲しいというニーズがあり、軽量で単価も高いため、ドローン宅配との親和性が高い。現行制度では、特区であっても都市部でのオンライン服薬指導は認められていないため、国に対して規制緩和を要望しています。

千葉市は医薬品の宅配などを想定し、ドローンの実証実験を行っている

ICTを積極的に活用する理由

――熊谷市長は、ICTを積極的に活用したまちづくりを進めています。

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