2019年4月号
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名古屋発、変革への突破力

常識を覆す「理想の植物」が誕生!? 接ぎ木のブレイクスルー

丹羽 優喜(グランドグリーン 代表取締役)

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同系統の植物同士でないと不可能とされていた「接ぎ木」。名古屋大学発のベンチャーがその常識を覆し、異なる植物間で接ぎ木を可能にする新技術を開発した。その技術により、乾燥地でも育てられる作物など、これまで考えられなかった品種が生み出されるかもしれない。

丹羽 優喜(グランドグリーン 代表取締役)

農業手法の1つである「接ぎ木」の常識を覆した名古屋大学発ベンチャーが、グランドグリーンだ。そもそも接ぎ木とは、果樹や野菜の栽培で広く用いられている一般的な技術である。植物は、例えば同じトマトであっても、病気に強いものがあれば、甘いものもあるなど、異なる形質が存在する。接ぎ木で2つ以上の形質を持つ植物を接合することで、特定の作物で耐病性を高めたり、美味しくしたりなど、さまざまなアレンジが可能となる。

接ぎ木は、文字が誕生する前から行われてきた形跡があり、その歴史は数千年に及ぶとされる。そして、長年の蓄積によって「接ぎ木は同系統の植物同士でないと不可能」という常識が生まれた。これを打破したのが、名古屋大学の研究成果から生まれた特許技術「iPAG技術」だ。

グランドグリーンは、異種の植物間で接ぎ木ができることを、主要な作物で確認済みであり、海外でも特許を取得している

タバコが異種の植物をつなぐ

名古屋大学で研究に従事し、現在はグランドグリーンを率いる丹羽優喜社長は、次のように語る。

「タバコ属の植物を媒介にすれば、あらゆる植物を接合できることを発見しました。数千年来の常識を覆す発見であり、アイデア次第で、さまざまな価値が生まれます。今まで発見されなかったのは、おそらく固定概念が邪魔をして、タバコを別の何かに接ぎ木してみようとは考えなかったからだと思います。私たちにとっても、研究プロセスの中で見つけた偶然の産物という側面もあります」

iPAG技術により、まったく異なる植物間での接ぎ木が可能となる。そもそも接ぎ木ができない植物を例外として、入手可能な主要な作物については、すべてその技術が適用できることを確認しており、「ほとんどの植物間で接ぎ木が可能」と丹羽社長は語る。

遺伝子組み換えの植物はすでに存在しているが、接ぎ木は遺伝子に作用するものではなく、あくまで植物が持つ自然の性質を利用するものだ。iPAG技術を用いれば、自然に近い状態のまま理想的な植物をつくり出せるのだ。

iPAG技術によって何が実現するのか。例えば品種改良のスピードアップが考えられる。

「従来の品種改良は企画から完成まで、およそ10年を要していましたが、それを1~2年程度に短縮できると考えています。時間がかかることは事業リスクを高めますから、これまでは大きな市場が見込める作物でないと、品種改良に取り組めませんでした。しかし、1~2年で新しいものを生み出せるとなれば、消費のトレンドやニーズに合わせた品種を開発しやすくなります。今後、iPAG技術のコストを下げられれば、それぞれの農業事業者が個性的なブランドの作物を開発できるようになります」

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