2019年3月号
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MPDの本棚

『地域発イノベーションの育て方』ほか注目の新刊

月刊事業構想 編集部

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――ご執筆の動機は何でしょうか。

地域活性化は現代日本の社会課題となっています。一方でその研究となると個別の実践事例の検証やパタンの提案にとどまり、全体を貫く理論的な裏付けの不足を懸念していました。地域のリソース(資源)を基にイノベーションを生み出す手法を本書で提示しようと試みました。

私自身、大学在学中から幾つかの事業を手掛け、少なからず現場の泥臭さを体感し、3年前からは地元である山口大学で教鞭を執る立場となりました。多様な経験が執筆の土台になっていると感じます。

――地域発イノベーションの成否を分ける要因は何とお考えですか。

リーダーシップを執る人の存在が鍵を握ると思います。社会の均質化を志向した1980年代以降、バブル崩壊を経て地域の特性を活かす実践が現れてきました。アートや観光で成功している地域には、リーダーとなるキーパーソンが存在し、根気強く活動を継続されています。

福岡県福岡市や大分県別府市、それに徳島県神山町など、活性化に成功する地域は住民意識のあり方が違います。街の声を聞いて達成目標を設定し、外部から流れ込む人に対しても開放的です。どんなプロダクトも人を観察・理解することでつくられるものであり、単なる発想ゲームに陥っては真に人を惹き付けるものは生まれません。

――イノベーションではデザイン思考の重要性がよく唱えられます。

敢えて言いますと「アイデアパーソンは必要ない」とみるのが私の立場です。個の発想力を起点とする「意味のイノベーション」と異なり、トップデザイナーのアイデアに頼らずとも、地域のアクターとパートナーの持つスキル、ナレッジを含むその地域ならではのリソースから出発し、フィールドワーク、プロトタイピング、テストを通じて得られる膨大なデータから、地域の人々が主体となって、自ら最適なコンセプトを紡ぎ出せることを示そうとしたのが本書です。

山口でも、山口情報芸術センター(YCAM)などの活動が徐々に浸透し、地域発イノベーションの芽が現れてきました。現場の実務者から政策決定者まで、地域に関わる全ての方に本書を手に取っていただきたいと思います。

地域発イノベーションの育て方

――リソースから紡ぎ出す新規事業

  1. 徳久 悟(著)
  2. 2018年10月刊行
  3. 本体2,500円+税
  4. NTT出版

 

徳久 悟(とくひさ・さとる)
山口大学 国際総合科学部 准教授

 

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