成長企業「次のユニコーン」対決!TBM vs. エリーパワー

日本からもユニコーン候補の企業が続々と生まれている。そのうち、SDGs貢献をも見据えて成長を続けるTBMとエリーパワーの現在を概観する。

独自技術で成長する次代ユニコーン2社

米国Uber、AirBnbをはじめ、世界には270社ほどのユニコーン企業があると言われるが、現在、日本でユニコーンと呼べるのは、AIのディープラーニングによる制御技術を開発するプリファードネットワークスぐらいだ。その時価総額は約2,300億円と群を抜き、昨年はトヨタ自動車から約105億円を調達した。他のユニコーン候補は時価総額で遠く及ばないが、それでも次世代は着実に育っている。

AI、ネット関連のユニコーン候補が多い中、少々異彩を放つベンチャーがある。たとえば石灰石から紙やプラスチックの代替素材を開発するTBM。通常の紙1トンを作る場合、20本の木と100トンの水が必要だが、「ライメックス」と呼ばれるその新素材の場合、紙代替品1トンを作のには0.6〜0.8トンの石灰石と約0.2〜0.4トンのポリオレフィンですむという。しかも石灰石は埋蔵量が無尽蔵で、日本でも自給自足できる。プラスチックも石油由来樹脂の使用を大幅に削減でき、石油由来ではなくバイオ由来・生分解性素材を使う技術も検討中だ。推計企業価値は約290億円だが、プラスチック廃棄物や資源枯渇問題の答えを握る企業として将来性は高い。2018年8月年には、伊藤忠、ディップ株式会社からも資金を調達、米国での展開を目指している。

もう一つの未来のユニコーン、エリーパワーは、電機メーカー出身技術者を集めて大型リチウムイオン蓄電システムなどを内製する。再生エネルギー需要、EV需要拡大の波に乗って成長を続け、特に電力買い取り価格が下がって、売電から蓄電・自宅使用に向かう住宅用太陽光発電の変化という追い風も受ける。大和ハウス工業やINPEX、大日本印刷、ゴールドマン・サックスなどが出資しており、推計企業価値は約400億円。川崎市の二つの工場に加え、滋賀県に工場用地を取得、2021年の稼働を目指す。電池セル単位で追求する安全性、大型リチウムイオン電池で初のテュフ安全検査合格という信頼性は、今後激化する国際競争で大きな力になる。

徐々に変わりつつあるものの、依然ベンチャーが育ちにくい社会環境にある日本だが、次代ユニコーンの成功例の積み重ねによって突破口が広がっていくことに期待したい。

両社概要

TBM

創立 2011年8月30日
本社 東京都中央区
代表 山﨑 敦義(代表取締役)
資本金 60億7,080万円(資本準備金含む)
従業員数 95人(単体・2018年6月)
事業内容 LIMEX 及びLIMEX 製品の開発、製造、販売
工場 教宮城県白石蔵王:国内第一プラント
宮城県多賀城市:国内第二量産プラント
投資元 伊藤忠商事
ディップ 他

出典:ホームページ等

 

エリーパワー

創立 2006年9月28日
本社 東京都品川区
代表 吉田 博一(代表取締役社長)
資本金 157億7,776 万円(2017年7月)
従業員数 337人(2018年4月)
事業内容 大型リチウムイオン電池、蓄電システムの
開発、製造、販売
工場 神奈川県川崎市:川崎第一工場
神奈川県川崎市:川崎第二工場
投資元 大和ハウスグループ
国際石油開発帝石
東レ
SBI グループ 他

出典:ホームページ等

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