2018年5月号
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ザ・ライバルズ

オリンピック対決! シドニー五輪 vs. 北京五輪

月刊事業構想 編集部

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南半球での開催としては2度めとなった2000年のシドニー五輪。アジアでは3度めの開催となった2008年の北京五輪では、急成長する中国がその経済力を誇示した。開催後のレガシー活用をも含めた21世紀初頭の二大五輪を振り返る。

二つの五輪大会がもたらしたものは

1956年メルボルン大会以来44年ぶりに南半球で開催された2000年のシドニー五輪。日本では、たとえばマラソンの高橋尚子が日本女子陸上史上初の金メダルを獲得し、柔道の篠原信一が「世紀の大誤審」で銀に甘んじたことなどで記憶されている大会だが、オーストラリア国民は、先住民アボリジニの血を引くキャシー・フリーマンが陸上400mで金を獲得したシーンを特別な思いで見たに違いない。

その8年後、1988年のソウル大会以来22年ぶりにアジアで開催された五輪、北京大会は、「世界の工場」から「世界の市場」へと変貌し、急成長する中国の経済力を世界に見せつける機会となった。水泳のマイケル・フェルプスが8冠、陸上のウサイン・ボルトが3冠を達成したことが大きな話題となったが、中国国民は、金メダル獲得数51個でトップとなって威信を保てたことに歓喜したに違いない。

五輪・パラリンピックは、世界のアスリートたちが輝くための舞台であるだけでなく、インフラや都市機能の整備によって街を再生する契機として、また開催国、開催都市の力を世界にアピールし、観光客や世界のビジネスを誘致する機会としての機能を果たしてきた。だが、シドニー大会が自国の歴史についての様々な気づきをもたらし、北京大会が、たとえば環境汚染やマナーについての意識向上をもたらしたように、五輪がハード以外の領域で国民に及ぼす影響も大きい。

2012年ロンドン大会は、荒廃していたロンドン東部を会場とすることで一帯のQOL向上を目指し、生物多様性、低炭素社会といった環境テーマの追求によって、オリンピックを国や世界の利益につなげる契機とするという明確ビジョンがあり、予算取りから会場の仕様に至るまで、すべてがそのビッグビジョンに基づいて進められた。史上初のエコオリンピックと言われる所以であり、莫大な費用をかけたスタジアムが、大会後は無用の長物になってしまったという不合理は、ここにはない。

2020年冬季大会は北京に決まったが、立候補していた5つの都市はその過程で次々と辞退、競合したのはカザフスタンのアルマトイだけだった。2024年夏季大会も、4都市が辞退してパリとロサンゼルスしか残らなかった。大規模化の一途で費用がかさむばかりの五輪の意義が問い直される時期に来ているということだ。五輪は今、国威発揚やハード面もさることながら、ソフト面で開催都市に何をもたらすのか、どのようなレガシーを残せるのかが問われている。

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