安川電機のリハビリ支援ロボット 「市場性がない」危機からの復活

産業用ロボット大手の安川電機は、2025年の主力事業領域の1つに医療・介護を選び、ロボット技術を応用したリハビリ・生活サポート機器を次々と発売している。過去に「市場性がない」と中断した医療・福祉機器事業が、経営の柱として復活しつつある。

福田 哲哉(安川電機 常務理事、マーケティング本部新規市場開発部 部長)

安川電機は、2017年10月、上肢リハビリ装置 「CoCoroe AR2」を発売した。12月には、下肢用リハビリ装置 「CoCoroe AAD」を発売する。30年近い歴史を持つ同社のリハビリ装置事業は、実は、一旦中断したのち復活した「新規事業」だ。「新しい事業を考える際に、既に存在するものを見直し、深耕するのは、定石の一つ」と、同社常務理事で、マーケティング本部新規市場開発部の部長を務める福田哲哉氏は語った。

医療・福祉機器事業を復活

安川電機は、B to Bの生産機械、産業用ロボット大手のイメージが強い。一方で、ロボット技術を応用したリハビリ装置の開発には1990年代から着手していた。当時の開発の成果は、2000年代初頭に医療機器として商品化にこぎつけたものの、当時の医療現場との技術乖離のために「早すぎる」「市場性がない」と判断され、事業は中断した。

一度はお蔵入りとなったリハビリ装置の事業化は、2013年に発表した中期計画で、同社が「新規事業の創出とコア事業化」を前面に打ち出してから本格的に復活した。

「当時の津田純嗣社長(現・会長)が過去に医療・福祉機器を手掛けていたこともあり、その指示で再度フィージビリティスタディを実施。倉庫の中から、将来性のある新規事業の種として引き出してきた」と福田部長は話す。

その後、2015年に発表した長期経営計画「2025年ビジョン」でも、医療・福祉機器に経営資源を割く判断は継承された。メカトロニクス、クリーンパワーと並んで、「ヒューマトロニクス」が2025年の事業領域の一翼を担っている。

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