龍角散 風邪薬だけではない強み 10年で売上高3倍に

200年以上の歴史がある老舗8代目の承継者で、音楽家という異色の経歴を持ち、会社が多額の借金を抱えた「どん底の時代」に事業を承継し、事業を立て直した。インバウンド消費で欠品騒ぎが起きたほど、世界的に大人気な「龍角散」躍進の秘訣とは。

藤井 隆太(龍角散 代表取締役社長)

音楽から学んだ
オンリーワンビジネス

音楽大学に進学したとき、父から「会社を継ぐ必要はない」と明言されていました。しかし、事業承継を頼まれた当時、父は病気を患って回復も難しい状態でした。1年間見て回った現場は、営業に行っても売れず、工場で生産するものもない、毎月の営業会議で出る予算は適当。あるときの幹部会議では、策も全て底尽きたからと激しいリストラプランを作成していたのです。

私は副係長でしたが「一回私にやらせてみてください」と言って、大リストラ計画を白紙撤回しました。初めて見た財務諸表は多額の借金を抱えており、社内にも危機感がなく、会社を畳む方法も分からずに困りました。妻に相談し、周りにご迷惑をおかけしないところまで頑張ろうと思いました。

そこで、10年単位の時間軸で三段階の経営革新の道筋を立てました。まずは、借金の返済と、会社が存続していくための基盤づくり。「他がやらないことをする、オンリーワンを狙おう」と考えたのです。

この考え方は音楽家としてパリ留学時代に学びました。音楽というのは、自分が感じたこと、アピールしたいものがなければいけません。そうした意味で、色々な勉強の必要性を自覚し、「自分にとって音楽とは?」をずっと考え、1年後には相応のアピールができるようになりました。これを基に経営革新の構想を練り始めました。

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