10年無敗のかるたクイーン 勝ち続けるためのライフデザイン

"畳上の格闘技"と称される競技かるたは、知・力・速の総合競技である。その競技かるたの世界で2005年から10年もの間、クイーン戦の出場を辞退するまで無敗の記録を伸ばし続けた女性がいる。彼女の名は楠木早紀。無敵の自分を作り上げるために、彼女が続けてきた練習法とは。

文・小島 沙穂 Playce

 

楠木 早紀(競技かるた)

藤原定家が選出したとされる秀歌撰、「小倉百人一首」を用いたかるたは、正月の遊びの定番だ。かるたのルールを統一し、伝統文化としての楽しみだけでなく、スポーツに近い形で競技かるたが取り組まれている。競技人口は、小学生から高齢者まで幅広く、全国100万人を超えるほどだ。

競技のルールはいたってシンプル。2人の選手が1対1で向かい合い、小倉百人一首100枚のうち25枚ずつの計50枚をそれぞれ自陣に並べ、読み上げられた札を相手より早くとっていき、自陣に札がなくなったら勝利となる。並べない残りの50枚は空札と呼ばれる使用しない札だが、読み手に読まれることもあるため、プレイヤーはない札に惑わされぬようにしなければならない。競技かるたは札を取るための反射神経とスピード、札の句と位置を正確に把握する記憶力、そして集中力の総合競技なのだ。

そんな競技かるたの最高峰ともいえる大会、名人・クイーン戦において、2005年、中学3年生で最年少クイーンに輝いた女性がいる。それが楠木早紀だ。彼女はその後も公式戦無敗記録を伸ばし続け、2015年のクイーン戦を辞退するまで、負けなしの絶対女王として圧倒的な強さを誇ってきた。

自らのプレースタイルを磨き
最強の自分に挑み続ける

クイーンの座を守り続けた10年間に関し、楠木は振り返る。

「私は常に勝ち続ける選手であり続けたいと思っていました。そのために、相手によって戦い方を変えるのではなく、ひたすら自分の力を高めることに専念しました」

相手を研究し、戦法を練る選手はたくさんいる。しかし、彼女はクイーン、つまり挑戦を受ける側である。対戦相手は楠木を研究し尽くすことができるが、彼女は挑戦者が決まるまで対策を練ることができず、準備できる時間も短い。それならば、誰が相手でも負けないように、自分のパフォーマンスの洗練に努めることにしたのだ。

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