若手起業家たちの挑戦 他者の課題と自身の想いから創る新事業

事業を通じて実現したいことは何か、なぜ自分がその事業を創るのか。余暇時間の課題解決・地方創生に挑むアソビュー株式会社の山野智久氏が、新しいサービスを創り、世の中に生み出す価値について、事業構想大学院大学で講演した。

山野 智久(アソビュー 代表取締役社長)

「遊び」の予約・購入ができる日本最大のマーケットプレイスを運営するアソビュー株式会社は、2011年に設立された。現在では、北海道から沖縄まで、16,000もの伝統工芸体験やレジャープランを紹介している。

代表の山野氏は、事業を創るとは「社会に対して新しい価値を提供して、世の中に大きな動きを創ること」であると語る。

自分の貢献が目に見える形に

山野氏は、「誰かの課題を解決し、その貢献に対してお礼を頂く。その輪を広げることが価値を生み出すということ」と話した。

学生時代、累計30万部のフリーペーパーを発行した際に「街の複雑さが可視化された」「事業に携わりたい」というポジティブな反響を受けたことが自身が事業を創るきっかけとなったという。自分が成長したい、社会人になるための準備であると思って始めた事業が、誰かの役に立って、価値を生み出していることに気づき、「for me」であった視点が「for you」へ変わった。

「自分で事業を企てて、社会に対し て新しい価値を生み出すことで、世の中に大きな流れを創ることができる」 そう感じたという。

事業構想大学院大学は、多彩なバックグラウンドを持つ院生・教員が集まっており、刺激を受け、新たな気づきを得やすい環境が整っている。

自分がやるという
「感情を宿した事業」とは

事業を創るうえで、①世の中にない新しいことチャレンジする②成長産業で勝負する③日本を牽引する大きな事業を行う、の3点を重視したという。

「事業の形が決まっていない当時は、情報をインプットし、少しずつセグメントを行い、フォーカスするセグメントを深掘りしていった」と語る。

創業時には、世の中のトレンドを知り、成長産業を見つけるため、世の中のトレンドを知るうえで、女性ファッション誌から経済記事まで読み漁った。

その中で、経済産業省のクールジャパンプロジェクトを見つけ、当時、日本の魅力を世界に売り出せる分野として、観光・伝統工芸・建築・ポップカルチャー・食が挙げられていることを見つけた。様々な業種・業態を検討していたが、最後は論理ではなく、自分の好きなことをやろうと思い、「観光」に行き着いたとう。

そこからは、観光で困っていることは何か、アンケートを実施したところ、「観光中に何をしたらいいかわからない」という「遊び」の部分に課題があることに気づき、その課題の解決のために今のビジネスを確立させたという。

「事業を創る段階で、始めは論理的に考えていたが、最終的には自分がやりたいのか、誰のためになるのかという情熱が、事業の意思決定の決め手となる」と語った。

事業構想大学院大学でのカリキュラム

本学で取り組むことは経営学の専門的な知識を身 に着けることでも、ケーススタディを行うことだけ でもない。「あなた自身の事業構想を創る」ことで ある。

具体的に言えば、自分の持つ経営資源はどのよう なものがあるのか、誰に対してどのような価値を届 けたいのか、潜在的なニーズは何かなどを整理して、 自身のアイデアを構想にして、実現可能な計画に落 とし込むことである。

一人ではアイデアが詰まってしまう場合にも、専 門分野を究めた教授陣、企業経営者・実務家・官僚・専門家・科学者・哲学者などを招聘。年間150 人以上のゲスト講師から、最先端の知識を吸収しな がらあなた自身の構想に役立てることができる。

これらの講義や研究の中で、常に最も基本的な事 項として問われるのは、 その事業の理念であり、 存在意義である。事業は常に誰かのためにあり、社 会の問題を解決するものである。

本学では起業や、新規事業を起こすこと自体を目 的とするのではなく、事業の構想を通じて、社会の 一翼を担う人材の育成を目指しています。

 

山野 智久(やまの・ともひさ)
アソビュー 代表取締役社長