貸会議室運営のTKP 上場で「ニッチな成長市場」を開拓

オフィス等の空室を活用した貸会議室の運営を手がけるティーケーピー(TKP)。セミナーホテル運営やケータリングなど周辺市場を積極的に開拓、急成長を遂げている。河野貴輝代表取締役社長は、今後、国内外で貸会議室の需要がさらに高まると予想する。

TKPは全国および海外で1807室の貸会議室を運営。TKPの赤い看板は見慣れたものになった

河野 貴輝(ティーケーピー代表取締役社長)

貸会議室への潜在ニーズを発見

今年3月、東証マザーズに上場したティーケーピー(以下TKP)は、飛ぶ鳥を落とす勢いで急成長を遂げてきた。2005年の創業から右肩上がりで売上を伸ばし、2017年2月機の連結売上高は約220億円を記録している。

「空間再生流通企業」を掲げるTKPの主な事業は、オフィス等の空室を活用した貸会議室の運営。今年8月の時点で会議室数は全国および海外に1807室、総席数は13万1518席と圧倒的な規模を誇る。

どこの会社にも会議室はありそうなものだが、なぜここまで事業を拡大することができたのか。同社代表取締役の河野貴輝氏も当初は「貸会議室の需要なんてないと思っていた」と苦笑する。

「ある日、六本木を歩いていたら、1階のレストランは営業しているのに2階と3階が空室のビルを見つけました。当時、東京ミッドタウンの建設で、ビルテナントの立ち退きが進んでいたのです。六本木の良いエリアにあって取り壊しまで放っておくのはもったいないと思い、ビルのオーナーと交渉して安く借り受けました。僕はもともとコーヒーが嫌いで、喫茶店で打ち合わせをするのがイヤだったので、コーヒーを頼まなくてもいい会議室があったらいいなと思っていた(笑)。それで貸会議室を始めました」

河野氏は最初、空室をパーテーションで区切り、10社に月々5万円で貸せないかと考えた。しかし、知り合いに相談しても誰も興味を示さない。そこでインターネットに情報をアップしたところ、問い合わせがどんどん入るように。その時に気づいたのは、小さな部屋にはニーズがなく、50人から100人規模の部屋は需要があるということだった。

「小さな会議室ならどこの会社にもありますが、100人入るような大きな会議室を持っているのは大企業ぐらいですよね。でも、どんな規模の会社でも説明会や採用、研修などで大きな会議室を使いたいときはある。そこにニーズがあるのでは、と思ったのです」

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