2017年8月号
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産後ケア事業

地域の子育て支援 厚労省ガイドライン案策定の意味

林 謙治(国立保健医療科学院 名誉院長)

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自治体首長が掲げる重点政策で、子育て支援を挙げるケースがほとんどだ。その具体策の一つとして、産後ケア事業が注目される今、ガイドラインの意味はどこにあるのだろうか。厚労省のガイドライン案を取りまとめた、林謙治博士(国立保健医療科学院名誉院長)に伺った。

産後ケア事業ガイドライン
策定の背景

厚生労働省の「産後ケア事業 ガイドライン」が間もなく発表される見込みだ。産後ケア事業には、出産をした母親の心身のケアや乳幼児の健康管理、育児相談などが含まれる。実施主体は市町村で、負担割合は国と市町村で2分の1ずつだ。政府は、2016年に160の市町村で行ったモデル事業を、2017年度には、前年の1.5倍の240市町村に拡大するという力の入れようだ。子育て支援策として有効だと言われる産後ケアだが、その重要性はどこにあるのか。また、なぜ今、ガイドラインが策定されているのだろうか。

林 謙治(国立保健医療科学院 名誉院長)

現代の子育ては
3つの“ない”状態

ガイドライン案を取りまとめた林謙治博士は次のように説明した。「出産後、女性はホルモンバランスが乱れ、身体的、精神的に不安定な状況に陥りやすくなります。重ねて、核家族化や女性の社会進出で、子育ての環境は厳しさを増しています。そうした中で、さまざまな問題が顕在化しています」。

核家族化が進み、育児経験が伝承されることがなくなり、経験もないまま子育てをしなければならない状況が生まれている。子育てを支援してくれる人が周りにいない。また、女性の社会進出が奨励され、夫婦共働きの家庭も増えた。昨今は男性が育児休暇を取れるようになってきたとは言え、実際は、まだまだ母親が育児の大部分を負担しているというのが現状だ。

林氏は、「現代の子育てには、時間がない、経験がない、知識が足りないという、3つの"ない"が根底にある」と言う。

自分で育児のノウハウの情報を取得して、その通りにやってみても、赤ん坊はマニュアル通りに反応してくれないのが常だ。しかし、適切なアドバイスをしてくれる人もいなければ、経験もないために不安は増大し、さらにホルモンバランスの乱れから、「こんなはずではなかった」と精神的に追い詰められ、マタニティーブルーに陥る母親も少なくない。さらに症状が進めば、産後鬱を発症し、最悪の場合、自殺するケースもあるという。その一方で、苦しい気持ちの矛先が、生まれたばかりのわが子に向かい、乳幼児虐待や虐待死を発生させるリスクが大きい。

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