アンチ吉本、ゼロから挑む お笑い会社が「地域」に力を注ぐ理由

地域活性のプロジェクトや、沖縄での映画祭、海外進出など、積極的に事業を拡大。大﨑社長は大きな視野から、「自分なりの物差し」で考え抜き、新事業に挑んでいる。

2009年にスタートした沖縄国際映画祭は、2014年より「島ぜんぶでおーきな祭」と改称。映画だけでなく、お笑い・音楽・ダンス・ファッションなど、総合エンタテインメントの祭典として、約40万人を動員するイベントに育っている

僕が2009年に社長になって最初にやったことは、上場廃止の決断です。

お笑いやエンタテインメントの未来を考えると、スピード感を持って新しいことに挑戦しなければなりません。吉本興業は海外展開や地方の活性化、デジタルコンテンツ・ビジネスなど、新たな事業に進出していますが、それらはまだ道半ば。四半期ベースの数字に捉われていたら、誰もやったことのない事業に挑戦しづらくなります。非上場化は、どうしても必要なことでした。

しかし、その決断は激しい物議をかもしました。興行の世界は、歴史的にさまざまな業界の人との接点があります。吉本では、2005年に創業家の林(裕章)会長が亡くなると、キナ臭い人たちが接近してくるようになり、怪文書が飛び交っていました。

反社会的勢力と言われる人たちとの決別も、僕がやらなければならない重要な使命だったのです。僕が副社長の時代、社内は不安定な状態にあり、コンプライアンス体制も未整備でした。僕は社内外で戦いを続け、ホテルに入るときは、尾行に気を付けて周りを確認したり、駅のホームのふちには立たないようにしたりする日々。

その経験を通して、たった一人でも仲間がいれば、人間は戦えるものだと感じました。僕のような、普通のおっさんでも戦える。現在の吉本は、反社会的勢力との決別をはっきりと宣言しています。

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