地域を幸せにするエコツアー 離島ブームを超え、人を呼び込む

三重県鳥羽市の豊かな自然を活かした体験型ツアーで地域おこしに取り組む「海島遊民くらぶ」。2001年の設立当時には100人ほどだった受入客数が、2013年には4000人を突破した。地元にUターンした旅館の女将が、事業を牽引している。

三重県南東部に位置する鳥羽市。市内には4つの有人離島と10以上の無人島があり、漁業が盛んだ。そんな鳥羽市に、島で育まれた漁村文化や自然をフィールドにエコツーリズムを行っている企業がある。2001年に設立されたエコツアー企画会社「OZ」だ。

代表取締役である江崎貴久氏は一度東京で就職したが、1年後に両親が経営する老舗旅館を継ぐために鳥羽へ戻ってきた。その後は、旅館「海月」の女将を務めながら、会社の経営やガイドツアーも行っている。

そして2010年には、「鳥羽市エコツーリズム推進協議会」の会長に就任。現在では、環境省中央環境審議会臨時委員や鳥羽市観光協会副会長も務め、鳥羽を含む伊勢志摩の地域づくりで中心的な役割を担っている。

江崎代表が目指すのは、観光客・自然・住民・ガイドの4者が幸せを感じられる「感幸」の実現だ。

努力したことが実る地域に

東京から鳥羽に戻った江崎代表が、地域づくりに携わるようになったのは「自分が子供の頃よりも、まちに元気がなくなった」と感じたからだ。

「努力をしても、それが実らない地域になっているように思いました。私のあとに帰って来る若い子たちが、最初は頑張ろうとしても、ここでは意味がないと思ったら見捨てるかもしれない。だから今のうちに、頑張ったら頑張っただけ返ってくる地域にしなければならないと思ったんです」

江崎 貴久(海島遊民くらぶ 代表、旅館「海月」 女将)

実家の旅館経営だけでは、地域への広がりに限界がある。そこで企画したのが、エコツアーだった。

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