「空き資源」活用と地域の活性化

空き家、空き店舗、廃校、空き施設などを「資源」として捉えれば、地域には豊富な資源がある。しかし、空き資源を活用するためには、数々の課題を解決しなければならず、実践的な取り組みが求められる。

「空き資源」の意味

「空き資源」とは、空き家、空き店舗、廃校、空き施設などについて、地域創生のための活用を前提に前向きに捉えている場合のことである。「廃校」は事実でも、地域にとっては「廃校」は住民にとっては我慢ならない言葉であるということから、「空き資源」と表現し、住民感情に配慮したものである。しかし空き物件を「資源」として捉えれば、地域には豊富な資源が存在するというわけである。

ここでは、空き資源について、主に「空き店舗」(商店街の活性化)、「廃校」について現状と課題について述べる。

「シャッター通り」の危機

ある地方都市での話。「今日は商店街が休日なのですか」、「いえ、みんな店を閉めてしまったか、転貸したのですよ」ということであった。見事なシャッター通りなのである。こうした街並みは決して珍しいことではない。どこにでもある光景である。今、全国の多くの自治体では、こうした深刻なシャッター通りの危機を抱えている。

人口減少、少子高齢化が進行する中で、客が減少したこと、さらに後継者がいないなどの問題、商店街の無秩序なスプロール化が進み、市民へのサービス低下と、維持管理機能が退化しているのだ。かくして都市機能が低下し魅力が失われ、市民生活が快適さを失い、小規模な自治体では過疎化傾向をもたらしつつある。

これまで中心市街地は、文化や商業、公共、福利、居住など都市機能が集積して魅力があり、市民のコミュニティを形成してきた。しかし、近年、郊外に大型ショッピングセンターが進出するなど、コミュニティの中心を担ってきた商店街機能が失われつつある。こうなればますます、シャッター通り化が進み人口減に拍車がかかるという悪循環に陥っている。

「空き家」の増加が深刻化

全国の空き家数は約820万戸(2013年)で、総住宅数に占める空き家の割合は13.5%という驚くべき数字がある。7戸に1戸は空き家という県もある。

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