リニア開業、人と仕事を呼び込む 「6つの構想」で山梨を改革

2027年に開業予定のリニア中央新幹線により、東京都心から約25分で結ばれる山梨県。そうした優位性を活かし、後藤知事は、企業誘致や観光振興、移住・定住の促進など、さまざまな施策を展開。山梨の「個性」を磨き、自治体間競争に勝ち抜くことを目指す。

後藤 斎(山梨県知事)

--山梨県の産業の強みについて、どう見ていますか。

山梨の基幹産業は機械・電子産業です。山梨には世界でも有数な水晶鉱山があり、江戸時代から加工技術が磨かれてきました。その流れが現在も受け継がれ、精密加工に強みがあります。

しかし、新興国の台頭など、県内産業をめぐる市場環境は大きく変化しています。産業のさらなる発展を目指し、昨年12月、県政運営の基本指針である「ダイナミックやまなし総合計画」を策定しました。

「ダイナミックやまなし総合計画」は、山梨を支える3つの力である「エネルギー供給力」、「景観・農業力」、「安心・防災力」を活かしながら、6つのプロジェクトを進めています。

「5つの輪」で企業を誘致

--「ダイナミックやまなし総合計画」では、どういったプロジェクトを進めているのですか。

一つは、「基幹産業発展・創造プロジェクト」です。新たな地域づくりを行っていくうえで、経済基盤の強化は欠かせません。エネルギー・人材供給力の増強や新産業の創出によって、基幹産業の発展と裾野の拡大を図っていきます。

具体的な取り組みとして、燃料電池や医療機器といった新産業・成長産業の集積を進めていきます。各市町村と連携し、熱電併給など自立・分散型エネルギーシステムを備えたスマート工業団地などの整備を行っていきます。

もちろん、大企業だけでなく中小企業の持続的な成長も重要です。経営の安定化や技術力向上、起業の促進に向けて、金融機関や大学と連携した支援を行っています。

また、産業の発展のためには、優秀な人材の確保も不可欠です。2014年度の調査によると、山梨から大学へ進学する学生の60%が東京あるいは神奈川などの大学へと出て行ってしまい、そのうち卒業後、山梨へ帰ってくる人は25.5%にとどまります。これを2019年度までには28%に押し上げていきたい。

そのためには進学の際、県内の大学を選択してもらえるよう魅力ある大学づくりを進めるとともに、県内企業が就職先として有力な選択肢となるように、県内企業に対する経営力強化に向けた支援や県外からの企業誘致などを一層進めます。また、ウェブやSNSを用いた学生向けの情報発信を積極化していきます。

--企業誘致に関しては、どのような施策がありますか。

企業誘致は、多くの自治体が力を入れていますが、山梨は特徴的な仕組みとして、企業をつなぐ「5つの輪」と支援制度「4枚の切り札」を用意しています(図1参照)。

図1 山梨県、「企業誘致」の強み

企業誘致を推進するため、企業をつなぐ「5つの輪」と支援制度「4枚の切り札」を用意

 

「5つの輪」とは、「全国トップレベルの支援制度(4枚の切り札)」、「住みよい山梨」、「優れた交通アクセスと立地環境」、「富士山をはじめ四季の豊かな自然」、「おいしい食べ物と清冽な水」です。そして、「4枚の切り札」とは、「補助金等」、「電力割引」、「人材育成」、「サポート態勢」といった充実した支援制度です。

2027年開業予定のリニア中央新幹線や2017年開通を予定している中部横断自動車道といったインフラはもとより、住みやすく利便性に優れた山梨の魅力を発信していきます。

すでに食品製造工場などが、日照時間が長く東京に近いという山梨の価値を評価して移転するなど、成果が出ています。

「富士山」の魅力を最大限に

--観光産業の振興は、どう進めていきますか。

山梨には、富士山をはじめ、桃やぶどうといった農産物や緑豊かな森林資源、歴史的な神社仏閣など、魅力がたくさんあります。これらの資源を連携させて活力ある地域づくりを進めるのが、「地域産業元気創造プロジェクト」です。

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