2016年7月号
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パイオニアの突破力

目的意識を強くもち自身を『 理想の自分』に引き上げる

上田 藍(トライアスロン選手)

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水泳、自転車、ランニングの3種の競技を続けて行うトライアスロンが経営層の間でひそかにブームとなっている。なんでも、ペース配分や周囲の選手との駆け引きに戦略性があり、セルフマネジメント力の向上につながるというのだ。リオデジャネイロオリンピックトライアスロン日本代表の上田藍も、その戦略性の高さがトライアスロンの魅力だと語る。
文・小島 沙穂 Playce

 

上田 藍トライアスロン選手
©Satoshi TAKASAKI/JTU

トライアスロンと聞いて、非常に過酷なスポーツだとイメージする人も多いだろう。しかし、取材で筆者の前に現れた日本のトップアスリートは身長155cmの小柄な女性だった。3種の競技を続けて行うトライアスロンは、過酷というよりも戦略性の高さが魅力のスポーツだと彼女は言う。

上田藍がトライアスロンと出合ったのは、彼女が高校2年生の時。もともと競泳と陸上競技の選手として活動する中、記録に伸び悩んでいた彼女に無限の可能性を見せてくれたスポーツだった。同じ年、初めて出場したトライアスロンの大会で初優勝し、上田の輝く舞台はここだと確信した。

上田の現コーチ、山根英紀氏は、当時からシドニーオリンピックの選手を指導していた。彼はスカウトを行っておらず、上田が彼の元につくというよりも、一般のクラブチームに所属する形となる。トライアスロンを始めたばかりの上田に実績は何もない。選手として本当に芽が出るかもわからない。ただ、やる気だけがあった。トライアスロンをやりたい――その意志を山根氏に伝え、クラブチームに入り、行動でも示してみせた。

結果、今上田は日本の屈指のトライアスロン選手として、活躍を見せている。今も山根コーチに指導を受けながら、日々練習に取り組む。オリンピックで世界一の景色を見るために。

目まぐるしく変わる試合展開
自分の長所を活かす戦術を

上田が挑むトライアスロンのオリンピックディスタンスは、水泳1.5km、自転車40km、ランニング10kmの合計51.5kmで争われる。トップアスリートの女性ならば2時間前後でフィニッシュする、スピーディな競技だ。

「私は3種目のうち、ランニングがもっとも得意です。まだまだ課題の残る水泳は第2集団の中で突破し、後半自転車で追い上げ、最後のランニングで他の選手を引き離す展開が多いですね」

3種の複合競技であるトライアスロンは、水泳や自転車で遅れてしまっても、最後のランニングで他の選手を追い抜いてしまえば優勝だ。どの種目でどう自分の力を発揮するか、レースを組み立てるおもしろさがある。水泳が得意であれば第1種目で大きく引き離すし、走るのが得意な選手であれば虎視眈々と後ろから巻き返しのチャンスを狙えばよい。

「自分の得意種目がランである以上、そこで覆すレースをしたい想いが強くあります。どんなにつらい練習であっても、そのつらさを超えれば必ずスキルを伸ばせると信じています」

つまずきから見つけ出す勝利へのヒント

自分の力を伸ばすための課題のヒントは、不利な状況に追いこまれている時にしか見えてこないものもある。だからこそ、つらい練習を重ね、上田は自らを追い込む。例えば、ある筋肉が疲労した時は、その箇所に負担を掛けないためには別の筋肉をどう動かせばよいのかを考える。練習中、次の試合展開をイメージしながら、あらゆるシミュレーションを行い、レース中にハプニングがあっても、対応方法を知っていれば、会場で焦らずに済む。対応できるとわかっていれば、それが自信にもつながる。引き出しの中から対処法が見つけられるようになるのだ。

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