新・地方発クールジャパン政策 決め手はデザインシンキング

経済産業省が進める「地方発クールジャパン」の取り組みは、地域の産品販売、商品開発、観光を後押ししている。経済産業省自体がデザインシンキングでプロジェクトを進行しているのが特徴的だ。

デザインシンキングを政策立案に取り入れる

かつてデザインは製品や広告といった有形のものが対象の中心であったが、今はイベントやプロジェクトといった無形のものも対象にしている。デザインの対象が変化した背景には、モノからコトへ、あるいはモノからサービスへという消費者の関心の移行がある。市場リサーチに長けた企業は、この移行にいち早く気付き、「モノのデザイン」から「コトのデザイン」への転換を成し遂げた。

「クールジャパン」「地方創生」という大規模な政策を推進中の政府も、この動きを傍観してはいない。企業に倣ってデザインシンキングを取り入れ、空間やまちづくりのデザインをはじめ、これまでにない斬新な政策を立案しようとしている。経済産業省でデザイン政策室長を務める西垣淳子氏は次のように話した。

経済産業省 クリエイティブ産業課長/デザイン政策室長 西垣 淳子氏

「経済産業省でも今、私たちの課は『デザインシンキングを取り入れて政策立案をしていこう』という方針になり、その実現に向けて変革しています。旧来の方法の問題点を改めて、新しいものを生みだしていくという体験を、私たち自身が味わうことで、たとえ大変ではあっても、それを乗り超えていこうという気持ちが生まれるのではないかと考えています。ですから、今の私たちは、言葉で『デザインシンキングは大事です』という代わりに、デザインシンキングを自ら実践しているという状況にいます」

西垣氏は経済産業省でクールジャパン海外戦略室長も務めている。「クールジャパン政策」はこれまで「モノ」の発想に囚われ、輸出拡大や海外展開重視で進められてきた。しかし現在は「(1)外国に日本の事業者を進出させる→(2)外国人に日本の魅力的な産品を紹介し、日本に対する関心を高める→(3)外国人を日本に呼び込み、日本の地域を訪れさせる」という三段階式の「コト」の発想で進められている。

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