観光創生のプロフェッショナル 何気ない風景を観光資源に変える

地域の何気ない風景にプロ目線で光を当てコンテンツ化し、全国にプロモーションして旅行と消費を創造するJTB。「尾道 猫好きのまつり」などの好事例が全国で生まれている。

全国から猫好きが殺到した「尾道 猫好きのまつり」 Photo by Sato Yoshie

「その場所にしかない、今しかできない体験」。人々の興味対象はますます多様化・深化しており、コミュニケーション・ショッピング・旅行といった楽しみのあり方は大きく変化している。そうした中、観光を基軸とした地方創生のためには、地域の宝の価値を見出し、発信するだけでなく、その価値を認める人を探し出し、消費や旅行という実際の行動へ誘うための仕掛けが重要だ。地域にとって、何気ない・当たり前の風景も旅行会社のプロ目線で見ると「その場所にしかない、今しかできない体験」がたくさんある。

「尾道 猫好きのまつり」

2016年2月21日。2月22日(にゃん・にゃん・にゃんで猫の日)前日の広島県尾道市では首都圏を中心に全国から猫好きばかり200名のゲストを迎えた。猫のフェイスペインティングを施し、猫鈴を参加証にして、お土産店などに設置されたスタンプを押し、ちりめんじゃこのふりかけ等を買い求め、きまぐれに現れる猫を見つけては、ノスタルジックな路地裏を風景にシャッターを押す。地域在住の芸術家によって再生された古民家の中では上島珈琲のバリスタがイベント参加者へハンドドリップコーヒーを振舞った。

「尾道 猫好きのまつり」は、猫の似合う港町、尾道を舞台に広島県の地方創生事業の一環として、地域とJTBが連携して創り出した新しいイベントだ。まちあるきモニターツアー募集時のアンケートやSNSの反響を反映して、ターゲットを猫好きな層と明確化。尾道ならではの体験や、猫関連商品の開発促進などのコンテンツを積極的にメディアにもPRをすることが話題性の喚起と集客に結び付いた。地域の情報発信には、狙うべきターゲットを強くひきつけるコンテンツを作り、着地型旅行などの商品の開発とプロモーションを融合させることが不可欠だ。

地方創生には地域が一丸となった取り組みも必要だ。静岡県熱海エリアでは、事業者の意識統一のため、JTBが中心となり、統一ブランド「意外と熱海」を策定。観光素材の整備、まちあるきガイドの人材育成等受け入れ環境整備と、ブランドブックの作成も含めた統一ブランドでのプロモーションを総合的に実施することにより、観光地域づくりとブランディングプロモーションのPDCAを実行している。大手旅行会社、OTA(ネット旅行会社)、地元企業が共同で取り組むことにより、熱海市の宿泊客増に貢献した。

このようにJTBは47都道府県に所在する支店が中心になって地域の課題と正対し、商品・サービス・情報・及び仕組みを提供することで、「地域のタカラを日本のチカラへ」を理念とした交流人口の拡大による地方創生を目指している。

 

お問い合わせ

  1. 株式会社ジェイティービー 旅行事業本部観光戦略室
  2. URL:https://www.jtb.co.jp/chiikikoryu/chiikikoryu@hd.jtb.jp

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