脱・成果主義のイノベーション 自らの信念を打ち立てる

ビジネスにイノベーションが重要だと盛んに言われているが、実際イノベーションが起こっている企業は少ない。「その原因は、既存の枠組みの中で物事を考えているから」と、多摩大学大学院の徳岡晃一郎教授は話す。いまの事業の構造を変えずに、いまのビジネスモデルの中で仕事をしようとしたら、イノベーションの余地がないのは当然であるという。

徳岡氏は、マネジメント、リーダーシップを超える能力として「イノベーターシップ」という言葉をつくった。価値あるイノベーションを起こすリーダーが持つ能力であり、その言葉には、「世の中を変える人」という意味が込められている。

自らの信念を打ち立てる

「企業の人事部にいた頃、成果主義で、社員を叱咤激励してきました。しかし、成果主義では、社員は目の前の業績だけに焦点を当てるので、新しいビジネスや長期的な事業に目を向けなくなると感じていました」

そこで、徳岡氏は10年ほど前からMBB(Management By Belief:「思い」のマネジメント)を提唱していた。仕事の楽しさとは何か。ビジネスパーソンとして働く一人ひとりはいったい何をやりたいのか。そのような問いへの答えを求めるのがMBBである。そして、MBBをイノベーションにつなげる力がイノベーターシップである。

書籍『イノベーターシップ』では、次世代リーダーに必要な5つの力として、「未来構想力」「実践知」「突破力」「パイ型ベース」「場づくり力」を説明し、それらを身につけるためのトレーニング方法についても紹介している。また、自らの信念を打ちたて、イノベーションを実践しているイノベーターのインタビューも掲載している。

「特に、未来構想力は重要です。未来を見て、未来にはこうありたいと思うには、まず既存の枠を取り払う必要があります」

目標によって踊らされるのではなく、自分の思い、信念をしっかり持ち、ビジネスを主体的にデザインしていくイノベーターシップ。人々に勇気を与え、組織を束ねるリーダーがこれからの社会を牽引していくのであろう。

未来を構想し、現実を変えていくイノベーターシップ

  1. 徳岡晃一郎(著)
  2. 本体2,400円+税
  3. 東洋経済新報社

 

 

徳岡 晃一郎(とくおか・こういちろう)
多摩大学大学院 教授・研究科長
知識リーダーシップ綜合研究所所長

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