東大リケジョのゲノムビジネス 事業と研究にシナジーを生み出す

遺伝子解析で個人の疾患リスクや体質の特徴を調べるサービスが国内で始まった。サービスを立ち上げた「ジーンクエスト」の高橋祥子社長は、東京大学在籍中に起業し、事業と研究のシナジーを生み出す新しいビジネスモデルに挑戦する。

高橋祥子(たかはし・しょうこ)ジーンクエスト代表取締役

ゲノム解析技術の進歩で、誰もが簡単に個人のゲノム情報を手に入れられる時代が到来しようとしている。その時代を先駆けて、2013年6月に創業したジーンクエストは、約30万個の遺伝子を大規模に調べ、日本人の遺伝子情報に特化した解析サービスを提供している。

遺伝子検査の企業自体は、日本にも10年ほど前からある。ただ、そのほとんどの検査は、ダイエット等、目的に特化した2~3個の遺伝子解析にとどまっている。ジーンクエストのように、一人当たりのゲノムデータを大規模に解析するサービスは、日本では初めての試みだ。

事業の柱は大きく二つ。一つは個人向けで、生活習慣病などの疾患リスクや体質の特徴を調べられる「ゲノム解析サービス」。もう一つは、そのサービスで蓄積された膨大なゲノムデータを研究に役立てる、法人向けの「ゲノムデータ分析サービス」だ。個人顧客の同意を得たうえで匿名化し、研究機関が必要とするゲノムデータを解析している。

研究成果を社会に還元

ジーンクエストは大学発ベンチャーだ。代表取締役である高橋祥子氏は、東京大学大学院博士課程在籍中に起業した。当時は、大学院で糖尿病などの生活習慣病と遺伝子の研究をしていた。

研究には多くの費用がかかる。特にヒトゲノムの研究は、膨大な個人サンプルが必要であり、例えば1万人のゲノムデータを集めると5億円の研究費がかかる試算だ。

「研究者の求める最終的なゴールは、研究成果を人の生活や社会に役立てることです。研究成果を使ったサービスを作り、サービスを提供することで膨大なデータを集め、研究が加速するような仕組みを作りたいと考えたのが、起業のきっかけです」

研究成果の社会への還元と研究の進展、事業と研究のシナジーを大きく回すようなビジネスモデルを目指した。

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