「真田丸」メインポスターを手掛けた水口氏が語る 「伝わる」デザイン

新規事業でも地域活性でも、いまや事業構想の重要課題のひとつとなってきているのが、「コミュニケーション」である。「どうすれば、人びとの気持ちを動かせるコミュニケーションができるのか」。本書はその問いにヒントを与える。著者はアートディレクターの水口克夫氏。電通、シンガタを経て、独立し、ホッチキスを立ち上げた。その間20数年以上、さまざまな分野のアートディレクションを手がけてきた。

「アートディレクションの仕事は、箱の『鍵穴』を探して、手もちの『鍵』で開けること。箱は、企業や商品の魅力。鍵穴は、企業や商品が抱える課題を解決する切り口。鍵は、デザインや表現、アイデアなどの解決手段です」

本書では、著者の経験から、デザインやアイデアで課題を解決するうえで重要な30の視点をアートディレクションの「型」として、紹介している。

  1. アートディレクションの「型」。
    ― デザインを伝わるものにする30のルール
  2. 水口克夫(著)
  3. 本体1,600円+税
  4. 誠文堂新光社

徹底的に対話して「言うべきこと」を見つける

“伝わる”ツールやデザインを考えるポイントは、「何のためにツールをつくり、デザインするのか」をとことん突き詰めることだという。

「デザイン作業に入る前に、『何のためにこれをやるのか』と、時間をかけて依頼主と対話します。そうやって『問診』することで、企業や商品の芯となる目的が明確になるからです」

その一例が、青森県八戸市に本社がある新聞社「デーリー東北」との仕事だ。創立70周年を迎える2015年を機に、これからの地方紙のあり方を提案する意味も込めて、経済に重きを置いた紙面づくりをしたいとの相談だった。新聞社の現場の人と対話を重ねながら“問診”し、もう一度、地方紙ならではの強みを問い直した。そして辿り着いたのが、東北ならではの身近な経済トピックを掘り下げつつ(初回は「サバ」)、デザインの力を活かして徹底的にわかりやすく伝えるという、新しい試みの紙面だった。

「大切なのは、まず肝心なものだけを残すこと。どう伝えるかに知恵を使うのは、それからです」

問診を重ね、「言うべきこと」を見つける。この考え方は、事業構想の軸を考える上でも参考になるだろう。

全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。

  • 記事本文残り64%

月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!

初月無料トライアル!

  • 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
  • バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
  • フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待

※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。