全国初、国立公園に防災観光で活用できるWi-Fiを整備

Wi-Fiを中心とする公衆無線LANは、災害時の通信手段としての活用に加えて、平常時の観光情報発信など、多面的に役立てることができる。その先進事例が長野県小谷村。全国で初めて国立公園内に観光・防災Wi-Fiステーションを整備し、地方創生を目指す。

大地震でWi-Fiの有効性を確認

小谷村はその名の通り、北アルプスと信越の山々に囲まれた谷の村だ。急峻でもろい山肌は崩れやすく、2014年11月の神城断層地震(最大震度6弱)の爪痕はまだ生々しい。大雨のたび土砂災害にも見舞われ、とくに1995年には大水害にも遭っている。大災害が起これば集落が孤立する危険性もある。東日本大震災で携帯電話がつながらない状況に陥ったことや、有線の固定電話では災害によって断線の恐れがあることから、それら以外の通信インフラが必要とされていた。

そこで着目したのがWi-Fi環境の整備だ。小谷村は人口3100人ながら、スキー場を多く抱え、年間100万人もの観光客が訪れる。年々外国人観光客も増えていることから、Wi-Fiの整備は防災上、そしてサービス向上の両面で貢献すると考えた。

「まず、村内の公共施設や各地区の広域避難所への観光・防災Wi-Fiステーションの設置が2014年10月に完了しました。その直後に神城断層地震が発生したのです。中谷川に沿った地区の交流センターは1か月間に渡って避難所になり、Wi-Fiも役立ちました」と副村長の荻澤隆氏はいう。

荻澤隆 小谷村役場 副村長

電力自給で災害時運用を可能に
平時は観光客を『おもてなし』

災害時のWi-Fiの有効性を確かめた小谷村は、今年秋、中部山岳国立公園に含まれる「栂池高原自然園」にWi-Fiステーションを整備した。国立公園での公衆無線LAN環境整備は初めてだという。この事業では総務省のWi-Fiステーション整備助成を活用している。

このシステムでは、屋外のアクセスポイントはソーラーパネルと蓄電池によりその場で電気を供給しているため、電線も光ケーブルも敷設する必要がなく、災害時にも自立運用が可能。景観を損なわぬようにパネルもコンパクトになっている。冬には積雪が5mを超えることもあることから、秋の閉園時期に屋外のアクセスポイントをいったん撤収して、春に設置し直すようにした。

栂池自然園に隣接する栂池高原スキー場には、耐災害性の高い4.9GHz帯を使用した長距離無線LANシステムを常設し、スキー場内あるいは自然園から伝送された監視カメラなどのデータを村内の光ファイバー網につなげている。

村営光ファイバー網を利用して小谷村役場付近の栂池体育館から、栂池山荘まで、約6㎞を中継する「FalconWAVE4.9G-MP」を設置している。
栂池ビジターセンター(栂池山荘付近)に設置した機器の様子。

6㎞離れた栂池体育館と栂池山荘の間の中継地点付近の様子

Wi-Fiを活用した『おもてなし』の向上にも取り組む。栂池自然園に整備したWi-Fiステーションでは、栂池高原の『ポータルサイト@栂池』として、季節ごとに見られる植物の紹介やライブカメラによる現地情報の発信などを行っていく予定だ。また、各スキー場のステーションでは、アプリを使って地震などの災害時に、外国人観光客に避難情報などを多言語で発信することができる。

「自然公園の中で、観光客の利便性と景観や環境への配慮を両立できるご提案をいただけてよかったと思います。近年は特に外国人スキー客が増えていて、今年の見込みは昨年の2倍に上ります。また、トレッキングや登山に訪れる国内からの観光客も多いので、観光案内を発信するツールとして、そして、災害時には安否確認や安全確保に役立てられるツールとしておおいに活用していきたいと考えています」と語る荻澤氏。

Wi-Fiを活用して、防災対応力と観光誘客力の向上に取り組む小谷村の姿勢は、全国の自治体にとって指標になるはずだ。

長距離無線LAN FalconWAVE®で観光・防災Wi-Fiステーションを整備

地方自治体等では、観光拠点及び防災拠点おける公衆無線LAN整備が進められている。観光拠点となる自然公園や博物館などでは携帯電話やインターネットがつながらない不感地エリアが多いが、景観等の理由から配線工事ができずに設置できない場合がある。

DENGYOが提供する「長距離無線LANシステム FalconWAVE®」は低消費電力2.5Wで太陽光パネルによる自立運用が可能なため柔軟にWi-Fi環境を整備できるシステムである。低消費電力の中継無線も装備しているので電源線だけでなく通信用の光配線工事も不要で通信網を構築できるため、景観配慮が必要な場所でも配線を気にすることなく設置でき、期間限定で設置する場合でも容易に移動できる。さらに低消費電力のカメラも装備することにより、観光スポットの状況をモニタリングすることも可能となっている。

広域防災網を構成するためには、基幹の長距離回線を高速の無線で構成することが重要となる。この基幹中継回線は高い信頼性が要求されるため、干渉が少なく降雨断のない4.9GHz帯の「FalconWAVE4.9G Wi-Fiプラス」の使用が有効である。村内の光ファイバー網とつなげるために「FalconWAVE4.9G Wi-Fiプラス」が基幹の伝送路として構築されている。

最長30kmの安定した基幹通信だけでなく、同一筐体内に搭載されている高性能ビームフォーミングWi-Fi機能により広域エリアのアクセスポイントとしても利用することができる。災害時のインフラ通信網として、観光地のWi-Fi整備として、平常時・災害時ともに活用できる。

Wi-Fi+カメラ+中継無線機能を持つ自立電源運用の観光・防災Wi-Fiステーション

長距離基幹中継とWi-Fiアクセス系を両立する「FalconWAVE4.9G Wi-Fiプラス」

お問い合わせ

  1. 日本電業工作株式会社 マーケティング室
  2. TEL:03-6812-1415
  3. e-mail:Marketing@den-gyo.com
  4. URL:http://www.den-gyo.com/solution/solution03.html

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