2016年2月号
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地方都市の事業構想

「おでん屋経営」で急成長する地方企業 売上高は4年で2倍に

中嶋 聞多(事業構想大学院大学 副学長)

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鹿児島県に、地域に根ざした事業を次々と立ち上げ、成長する企業グループがある。地域の理想像を描き、「自分たちができること」を探求した結果、売上高は過去4年で2倍に拡大。地域密着型企業のモデルケースとして注目される。
文・中嶋聞多 事業構想大学院大学 副学長

 

「おでん屋経営」で急成長する地方企業

建築土木、農業、ロジスティクス、IT、飲食、教育、介護、エネルギー、観光――。株式会社トスを中心としたトスグループは、鹿児島県内を基盤に、あらゆる分野で事業を展開している。グループは約20社で構成し、社員数は総勢350人に達する。2012年に40億円だったグループ売上高は、2015年には80億円を突破。近年の地方経済の地盤沈下を考えると、驚異的な成長スピードと言えるだろう。

「地域活性化のためにというよりも、『自分たちができること』を考え抜いた結果、自然と事業・会社が増えていったのです」と笑うのは、トス代表取締役会長の大楽浩氏。大楽氏は、グループのあり方を「ダシが決め手の“おでん屋”経営」と表現する。多様な事業の連携から濃厚な“ダシ”がつくられ、それが地域ならではの魅力になっていくのだ。

大楽浩 トス代表取締役会長

建設業から環境エネルギー業へ

大楽氏は現在55歳。鹿児島県鹿屋市の建設会社に生まれ、学生時代にエネルギー問題に興味を持ち、石油業界で働くことを夢見ていたという。大学ではマーケティングを学び、アメリカの大手石油メジャーに就職、現地でMBAを取得するなど順風満帆な社会人生活を送る。

しかし、イラン・イラク戦争などで軍隊相手に莫大な収益をあげる石油メジャーの姿に嫌気がさし、28歳で日本に戻って大手コンサルティング会社に入社。さまざまな業種の上場支援を経験した後、鹿児島に戻り父が経営していた鉄筋加工会社を35歳で引き継いだ。

「当時はバブルの崩壊後で受注も激減し、40人の社員をどう食べさせていくかに思い悩みました。建設の世界では『半値八掛け』という言葉があります。ピラミッド型の業界構造で、地元に落ちるお金は事業予算の4割にすぎず、そのわずかなお金を地域の建設会社で分け合っていた。共生と言えば聞こえはいいですが、このままでは会社に未来はないと思いました」

大楽氏は下請けからの脱却を目指して、施工だけでなく企画・設計から業務を受託できるよう、人材や組織を強化。地方に仕事がないなら都会に出るしかないと、福岡に出向き、車で泊まり込みをしながら営業を行った。

利益率の高い仕事を受注できるようになり、会社に基礎体力がついた後、建設と親和性が高く大楽氏が問題意識を持っていた環境エネルギー分野に進出。省エネコンサルティングや太陽光発電施設の建設などで成長軌道に乗り、その後は次々と新事業を創出していく。

トスグループが本社を置く鹿児島県鹿屋市の街並み

スマートコミュニティ実現へ
医療、防災、教育に参入

トスグループはあらゆる分野に事業を多角化しているが、その根幹には「スマートコミュニティの実現」という大楽氏の大きな構想がある。

スマートコミュニティは、再生可能エネルギーの導入を基盤にICT技術などをまちづくりに取り入れて、交通システムや住民のライフスタイルなどを刷新し、持続可能な都市をつくる取り組みである。

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