「鮮魚×IT」で流通革命 高回転で回す「食品のDellモデル」

数十年来、変わらなかった鮮魚流通に風穴を開けたベンチャー、八面六臂。高度な情報処理技術によって、生鮮品の需要と供給をマッチング。生産者と飲食店の双方に恩恵をもたらし、食文化の振興を目指す。

八面六臂は、物流を内製化。スタッフ自身が朝からフルフィルメントセンター(物流拠点)に入り、鮮魚の仕入れや品質のチェック、鮮度や出荷先に合わせた検品・梱包など、地道な作業に力を注ぐ

「私たちは、自分たちが食事に行きたいと思える飲食店を支えていきたいと思っています」

そう語るのは、2011年に鮮魚流通サービスを開始したベンチャー企業、八面六臂の代表・松田雅也氏だ。飲食店にとって、食材の仕入れは競争力の源泉。しかし、従来の流通では仕入れの選択肢が限られていた。

水産物の流通は、漁業者から漁業協同組合、産地市場などを経た後、納品業者によって飲食店へ届けられるのが一般的。仲介業者が多いため鮮度が落ち、コストもかさむ。一方、飲食店が直接、鮮度の高い食材や珍魚を仕入れるには、自ら漁業者を開拓するなど予想以上に手間と費用が必要だった。

八面六臂は、漁業者や市場から水産物を買い付け、飲食店へ届ける。前日深夜までのオーダーが翌日に届くスピードと、現在では水産物だけでなく青果、精肉も含めた約2000種以上もの品揃えを実現し、首都圏を中心に約2400店が登録している。

「飲食は開廃業が繰り返されている業界ですが、消費者がどこで食事をするかを考えたときに、自然と候補として思い浮かべるような上位10店舗は潰れません。効率やコストを追い求める飲食店ではなく、『食』の文化を大切にする、そうした飲食店と取引をしたいと考えています」

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