「田舎」を商品に、ローカル線を再生 「地域の足」を観光に活かす

「地域の足」として使われていた鉄道を、斬新なアイデアで改革し、「観光」に活用。いすみ鉄道の存在が、外から人を呼び寄せている。

いすみ鉄道は、人気キャラクターを描いた「ムーミン列車」を運行し、ムーミンのグッズも販売。アニメファンや家族連れが、訪れるようになった

採算の難しいローカル鉄道。その存在に未来はあるのか? ヒントとなる取り組みの一つが、千葉県の房総半島を走るローカル線「いすみ鉄道」だろう。

いすみ鉄道は、千葉県房総半島の太平洋側の大原駅から、房総半島中央部にある上総中野駅を結ぶ26.8kmの鉄道だ。そのルーツは約100年前までさかのぼり、大正元年(1912年)に開通した県営人車軌道線を起源に持つ。

しかし、人口の少ない山間部の鉄道であり、都心部へ抜けるには別の鉄道会社(小湊鐵道)を利用しなければならない。そうした立地もあって当初から経営は苦しく、何度も廃止が取りざたされてきた。

しかし、地元の鉄道存続への思いは強く、1988年より第3セクターとして営業が続けられている。

そんな、いすみ鉄道が、このところ急激に注目を集めるようになった。その理由は、2009年に公募で採用された鳥塚亮社長の存在にある。外資系航空会社に勤めていた鳥塚社長が、次々とローカル鉄道再生の斬新なアイデアを展開したのである。

社内にテーブル席を用意したグルメ列車も運行

住民の足を「観光」に活かす

鳥塚社長が最初に行ったのが、「ムーミン列車」の運行だ。人気キャラクターであるムーミンを描いた列車を走らせる。同時に、ムーミンのグッズを販売。アニメファンや家族連れが、観光として訪れるようになった。

さらに1960年代に活躍した古いディーゼル・エンジンの列車を導入。ノスタルジックな列車を喜ぶ鉄道ファンを呼び寄せた。また、その列車を改装して食事ができるようにし、車中で伊勢エビなどを食べる「イベント列車」として活用した。

こうした施策によって、「住民の足」としての鉄道に、「観光」という新たな役割を与えたのである。

また、「700万円の研修費自己負担」を条件に運転手を一般から募集。自己負担ながら、「憧れの鉄道の運転手になれる!」と鉄道ファンの間で話題を集めた。

こうした斬新なアイデアが生まれる源泉は、どこにあるのか?

「航空業界での経験もあるでしょうね。私が働いていた航空ビジネスは、1980年代から大きく変化してきました。一部の人だけが利用していた航空機が、多くの人に利用されるものとなった。当然、顧客は利用方法をわかりませんから、その教育から入ったんです。そこでわかったのは、世の中の変化に対応しなければならないこと。今まで通りではいけないということを学びました」

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