TED創設者が語る「創造への道、クリエイティビティの原点」

「TED×Tokyo」を立ち上げるなど、多方面で活躍するパトリック・ニュウエル氏。1991年から日本を拠点とし、以来、数々のリーダーを世に送り出してきた。同氏が語る「日本」の精神、そして「クリエイティビティ」の神髄とは。
文・五味明子 ITジャーナリスト

 

パトリック・ニュウエル 教育活動家、ビジョンナビゲーター、TEDxTokyo 共同創設者

「日本は経済が強い国、質の高い工業製品を生み出す国として知られていますが、その根底に流れる“神道”マインドは、ほとんど理解されていません」

外国人起業家が集まった講演の冒頭、ニュウエル氏は神道と日本人の価値観について言及した。

「神道では、人間は自然を構成する一つのピースとして捉えられています。だからすべての事象は、起こるべくして起こると捉えられる。個(I)よりも全体(We)を重視するのも、そうした考え方が根底にあるからです」

変化は起こるべくして起こる

この文化は自然と対峙し、自然を征服することを原点としてきた欧米の文化とは根本的に異なる。そのため、なかなか理解されにくいとニュウエル氏は言う。

「人と人のつながりの根幹にも、神道があります。『一期一会』や『ご縁があります』といった言葉は、欧米の思想にはない、非常にディープな関係性を大切にしていることの表れです。そして当然ながら、ビジネスにおいてもこの文化は生きており、深い関係性を築くことが重要視されます。例えば日本語には、『結(ゆい)』という関係性を表す言葉がありますが、これは単なる『connect』とは違う、とても深いつながりを意味しているのです」

ニュウエル氏は、「ご縁」を「moment」と英訳している。「moment」には「一瞬」の他に、「すべてのムーブメントを起こす決定的な力」という意味が込められている。

そして、「ご縁(moment)は、初めから自然の流れの中に組み込まれており、ご縁とは起こるべくして起こるもの」という神道にもとづく日本の価値観を紹介。自分からアクションを起こすことで、世の中を変えていくことを良しとする欧米の文化とは非常に対称的なのだ。

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