創生ビジネスは企業の商機 キーワードは「協創力」

「地方創生」の号令で、自治体や地場企業が動き出している。しかし新たなビジネスチャンスを持つのは、地域の企業ばかりではない。グローバル企業から都心に拠点を置く企業にも大きなチャンスがある。その価値を紹介するのが『協創力が稼ぐ時代』である。著者は、農林水産省、外務省、環境省の行政経験が合わせて31年間、その後7年の伊藤園でビジネス現場の経験を有する笹谷秀光氏だ。

「地方消滅の予測がされてから、『地方=限界集落』という認識が強くなった。しかし地方創生には、インバウンド消費、クールジャパン、ICT活用など、喫緊の幅広いテーマが含まれています。だからこそ、グローバル企業や都心の企業、地場企業のすべてにビジネスのチャンスがあります。地方創生という言葉にとらわれず、日本創生と考えるとよいでしょう」

協創力が稼ぐ時代

―ビジネス思考の日本創生・地方創生

  1. 笹谷秀光(著)
  2. ウィズワークス
  3. 本体 1,500円+税

キーワードは「協創力」

「企業の力をどう引き込むかが鍵であり、そのキーワードが『協創力』です。複雑化する社会課題に真摯に向き合い、社内・社外のさまざまな関係者との連携で気づきを得て、イノベーションにつなげていくことが要諦です」

さらに「社会や消費者の共感を得て成功している企業事例を分析すると、本業を生かして利益と社会価値の同時実現を目指す競争戦略(CSV)が功を奏している」と話す。

競争戦略の権威である米国のマイケル・E.ポーター教授らは、自社の利益と社会価値の同時実現を目指す「共有価値の創造(CSV)」を主張し、新たな競争戦略として注目された。この米国発の考えを日本の身近な企業、自治体の事例を取り上げながらわかりやすく解説している。

企業が地域を拠点に、社会価値の実現を本業として始めた例は、岩手県生産のトヨタ自動車のアクア、愛媛県今治市のタオル企業、福井県鯖江市の眼鏡企業などから東京駅再生プロジェクトまで幅広い。石破茂地方創生担当大臣から創生ビジネスを育てる芽を示したとの推薦の言葉が寄せられている。企業と自治体が次なる創生事業を考える一つのきっかけになるのではないか。

笹谷秀光(ささや・ひでみつ)
伊藤園 常務執行役員
CSR推進部長

今月の注目の3冊

万人のためのデザイン

  1. エレン・ラプトン(著)
  2. 武舎広幸(監訳)武舎るみ(翻訳)
  3. ビー・エヌ・エヌ新社
  4. 本体2,200円+税

ユーザーを中心にしたアプローチをデザインに取り入れた「人間中心設計」。デザイナーたちが駆使する幅広い手法の数々とその理念を体現する逸品の数々を具体的に紹介している。さらにそうした画期的な製品が人々の生活やものの見方にどう影響してきたかを検討している。クーパー・ヒューイット国立デザイン博物館で開催され11万人を動員した展覧会、「Beautiful Users - designing for people展」の全てを収録した。

半市場経済

--成長だけでない「共創社会」の時代

  1. 内山節(著)
  2. KADOKAWA
  3. 本体800円+税

新たな事業を立ち上げる上で、持続的に経営可能なビジネスを考えることは前提になる。ビジネスの目的は利益の最大化ではない。よりよき社会をつくることに貢献する、そのことによってよりよき生き方を創造する。そのような目的を実現できる持続的なビジネス創出をする経済活動を、著者は「半市場経済」と呼んでいる。先進的な企業例を紹介しながら、里の哲学者である著者が、豊かな社会をつくる志や価値観を語る。

世界を変えるデザイン2

--スラムに学ぶ生活空間のイノベーション

  1. シンシア・スミス(編)
  2. 北村陽子(翻訳)
  3. 英治出版
  4. 本体2,400円+税

展覧会が世界各地で開催され社会に問いを投げかけた『世界を変えるデザイン』の第二弾。今回は「スラム」に焦点を置いた。基本的なサービスが不足しているスラムでは、住民自身が創意工夫に富んだソリューションを編み出し、思いがけない方法で協力し、デザインし、ゼロから何かを生み出している。ささやかなアイデアを紡ぎ合わせ、新しいサービスを生み出すプロセスは、まさに事業構想のプロセスと重なるところが多い。

 

名著

現場主義の競争戦略

本書は「下から見上げる産業論」であり、徹底した現場目線で日本産業のあるべき姿を論じた好著といえる。統合型(サッカー型とも表現される)の現場がこれまでいかにわが国の産業を支え、今後も基軸となるべきかが明快に論じられている。事業構想という観点からすると、「(現)場」のもつ意味あるいは本質について深く考えさせられる論旨が展開される。筆者は、資本の論理で動く企業と地域的な存在である現場を対比的にとらえる。だとすれば企業目線の事業構想とは別に、現場が生み出す事業構想という視点もあるはずだ。現場からうまれる「草の根イノベーション」こそ、わが国の産業の強みであり、飛躍させるエンジンではないか。グローバル競争の中で「何なら勝てるか」を考える一冊。

現場主義の競争戦略

--次代への日本産業論

  1. 藤本隆宏(著)
  2. 新潮社
  3. 720円+税
 


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事業構想大学院大学は、社会で必要とされる事業の種を探し、事業構想を考え構築していくMPD(事業構想修士)を育成する、クリエイティビティを重視した、従来の枠を超えた新しい社会人向け大学院大学です。1学年30人の少人数制、平日夜間と土曜日に授業を行い、院生全員が社会人です。
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