これから高齢者市場で何が起きるのか シニアシフトで新事業を創出

注目される高齢者市場において、企業にはどのような戦略が求められるのか。高齢者に関する豊富な知見を有する、電通シニアプロジェクト・斉藤徹代表が、今後のマーケットの変化や新ビジネスの可能性、マーケティング戦略を解説する。

イオンは既存の設備を活かし、高齢者ビジネスを展開。一部のショッピングモールで、定期的にウォーキング教室を開催している。高齢者にとっては、空調が整い、屋根があってバリアフリーのモールは、安心・安全の運動の場となる(写真は、イメージ)Photo by Dick Thomas Johnson

4人に1人が65歳以上の高齢者という時代になり、「高齢者市場」に巨大なビジネスチャンスが広がっていると考えている企業も多いでしょう。確かにボリュームは大きいのですが、「高齢者」には65歳の人もいれば90歳を超える人もおり、2世代以上が含まれています。また、生活レベルや健康状態も多様であり、一括りに「高齢者」と捉えるのは危険です。

特に戦前生まれと戦後生まれでは、生活や消費のスタイルが大きく異なります。今、高齢者ビジネスが注目を集めているのは、団塊世代が高齢者となり、消費の楽しみを知るシニア層が増えて、市場活性化の期待があるからです。

しかし現時点で、戦後生まれの高齢者の比率は半数以下で、戦前・戦中生まれと戦後生まれの高齢者がほぼ半々になるのは、2020年です。高齢者人口の伸び率は年率1%以下のペースで、変化のスピードは決して速いものではありません。

ただ、着実に伸びる市場であるのは確かです。高齢者市場は短期的に大きなリターンを得にくい一方、対応を怠ると取り残されるという難しいマーケットです。企業には、高齢者のどの層にアプローチするかを明確にして、5年、10年の長期的な視野に立って戦略を練ることが求められます。

斉藤 徹(さいとう・とおる) 電通 電通総研 研究主幹電通シニアプロジェクト代表

大ヒットを狙うと失敗する

もう一つ大切なのは、若者と高齢者のマーケティング戦略は全く別物ということです。団塊世代が60歳になった2007年、多くの企業が、団塊世代のリタイアによって新しい市場が生まれることを期待しましたが、残念ながら期待外れの結果に終わりました。

その要因は、リーマンショックが起きたことや、60歳でリタイアしない層が予想以上に多かったこともありますが、何よりも、高齢者の市場が若者とは根本的に違うという認識に欠けていたことが大きく影響しました。

例えば、私は、ある企業から「シニア層において、アーリーアダプター(初期採用者)は誰なのか?」という質問を受けたことがあります。しかし、そうしたターゲット層は高齢者市場に存在しません。

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