ライフネット生命の創業者たち 起業チームのダイバーシティ

ソニー、アップルなど著名な起業家がいる企業には、優秀な起業チームの存在があった。才能を持ち寄り、試練を乗り越えていく起業チームで、鍵となるのは「ダイバーシティ」。経歴の異なる2人の創業者がいる「ライフネット生命」の事例をもとに解説する。

著名な起業家は、起業時に優秀なチームに恵まれていることが多い。ソニーの盛田昭夫と井深大、アップルのスティーブ・ジョブズとスティーブ・ウォズニアックが良い例であろう。彼らは、お互いを補い合うような才能を持ち寄り、起業時の試練を共に乗り切っている。

今回はこのチームについて、特に起業チーム内のダイバーシティ(Diversity)が重要であることについて、経営学の研究成果と事例を交えながら紹介していきたい。

ダイバーシティはなぜ重要か

ダイバーシティは「多様性」と訳される。まずは女性の経営参画が思い浮かぶが、経営学においては、性別だけでなく年齢、人種、職務経験、教育歴などが異なる人材が企業内の意思決定に関わることで、多様な意見が取り入れられ、企業の競争力の源泉となると理解されている。

最初は女性の経営参画から考えてみよう。女性の役員就任はもちろんその職務経験や能力を求められてのことで、性別で選ばれる訳ではない。しかし例えば顧客の多くが女性である化粧品や、購買決定に大きく関与する住宅や家電関連産業等では、女性が役員会に出席することで、業績にプラスに影響することが期待される。男性のみで構成される役員会より、顧客視点の商品・サービスが採用される可能性が高まるからである。

さらに職務経験や教育歴についても、Zimmermanらの研究によれば役員の職務経験や教育歴のダイバーシティの度合いが高いほど、上場時に集められる資金の額が多くなることが明らかとなっている。この実証研究の結果は、上場に必要な経営上の問題を解決し、市場からの資金調達を実現するには、幅広い経験や能力が必要であることを示している。さらに企業を外部から評価する市場も、そのようなダイバーシティの高いチームによる経営が望ましいと評価していることも示唆している。

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