「日常」を問うことで変化を生む アートプロジェクトのつくり方

地域を舞台に、数々のアートプロジェクトを仕掛ける北澤潤氏。それは、そこに住む人たちの「日常」を揺さぶり、さざ波が広がっていくように、一人一人の内面に変化を起こしていく。

カラフルなゴザを組み合わせた上に、思い思いの「町のパーツ」を簡易的にしつらえることで、手づくりの“町”をつくる「マイタウンマーケット」。子どもたちも、自分たちが「つくりたい町」を企画していく 写真:伊藤友二

団地の空き部屋を、太陽光発電を用いたホテルに変える「サンセルフホテル」、商店街の空き店舗を開放し、不要な家具を物々交換することで“居間”をつくり出す「リビングルーム」、仮設住宅地に住民のアイデアでもう一つの町をつくる「マイタウンマーケット」――。

これらのプロジェクトを企画・運営しているのが、アーティストの北澤潤氏だ。北澤氏はこれまで、国内外の行政や学校、医療機関、NPO、地域団体などと協働するアートプロジェクトを数多く行ってきた。

北澤氏のプロジェクトの数々は、一つのテーマで貫かれている。それは、「日常」に対する問いかけだ。

「家庭や町、学校など、日常の環境は、人に大きな影響を与えます。そのことに鈍感になるのは危険。日常によって、人は形づくられている。日常を捉え直すことで、人のあり方も鮮やかになります」

北澤 潤 アーティスト、北澤潤八雲事務所 代表

「答えのない問い」を投げる

近年、各地で大規模なアートイベントが開催されているが、それは交流人口の増加を目指したものが多い。北澤氏のアートプロジェクトは、地域を舞台にしながらも、人を呼び込むことを目的としていない。

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