執務室で四股を踏む益荒男

ゲスト・川名浩一氏 (日揮株式会社 代表取締役社長)

左)川名浩一氏、右)スティーブ・モリヤマ

これまで世界80か国で累計2万件にも上るプロジェクトを手掛けてきた、世界有数のエンジニアリング会社である日揮(英文名称JGC)。2016年3月期の業績予想では連結売上高が9000億円、連結当期純利益は400億円を予定し、2015年3月末の受注残高は1兆7758億円と過去最高を更新しています。海外収益比率は85%にものぼり、従業員数約1万人のうち、海外拠点従業員が半数近くを占める多国籍企業です。

川名さんとは、米国大学院の時にクラスメートとしてお世話になりましたが、あれから15年も経つんですね。授業の後、汗だらだらになって二人でテニスをしたことを今でも覚えています。

川名氏:そうそう、いつもスティーブには打ち負かされていましたね。そういえば、昔、ある中東の知り合いが「どんな世界でも大切なのは、根気よくドアをたたき続ける力だ」みたいなことを言っていましたが、スティーブはまさにドアをうまくたたくタイプだと思います。大学院のコース修了後に、スティーブが私にメールをくれなかったら、お互い忙しいし、こうやって今でも時々会うことはなかったわけですからね。あの時のクラスメートで今でも付き合っているのはスティーブぐらいですよ。

―― 恐れ入ります。最終回に川名さんにお出ましいただき光栄です。私も今でもつながっているのは、川名さんともう一人シンガポールの人だけです。ただ、いつも気をつけてるのは、ご縁あって何らかの集まりに入れてもらう機会があった時は、一人でもいいから長期にわたって親しくお付き合いできる人を作るようには心がけております。

川名氏:今の話で思い出しました。弊社の重久グループ代表は「最近の若い連中は戦う姿勢が足りない。スピーク・アップ!もっと戦え」とよく言っているのですが、スティーブの姿勢はまさにそれです(笑)。ちなみに、今、弊社では「3Sアップ・イニシアティブ」という運動をやっていまして、3Sの一つは今言った「スピーク・アップ」、それから「スキル・アップ」、そして「スパイラル・アップ」なのです。

まず「スピーク・アップ」ですが、生身の人間と人間の間で当然あるべき会話や議論をもっと大切にしていこう、という意味です。弊社が手掛けるプラント建設プロジェクトは、1件あたり数千億から時には1兆円を超す巨大なものもあります。当然のことながら分業体制を敷いて効率的なプロジェクト遂行・管理をしているのですが、一方で、各エンジニアは自分の専門を深く掘り下げていかなければなりませんから、ともすると自分の世界に閉じこもり社内の人たちとのコミュニケーションが希薄になります。今の時代ですから、わざわざ会って話さなくても、メールだけで済まそうと思えばできてしまうんですね。でも、直接会って相手の表情の変化を見ながらでないと、本当に伝えるべきことは伝わらないと思いますし、一方的にメールしただけではコミュニケーションしたとは言えないと思います。だからこそ、私はいつも「饒舌な武士であれ」と口を酸っぱくして言っています。

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