いけばな界に新風を起こす若手家元 120年の伝統から革新を
今年で創流120年を迎えるいけばな小原流。若干6歳で継承をした五世家元は、現在27歳。伝統を継承しながらも、現代性を持った作品を生み出すクリエイターの顔も持つ。
小原流は、いけばなの長い歴史から見れば、明治末期に創流された比較的新しい流派である。流祖の小原雲心は、島根県松江出身で、元々は彫塑家であった。展覧会に出品していた作品を、明治天皇がお買上げになったほどの才能に恵まれていたが、病弱のため、華道に転身したのである。
大阪で生まれた小原流は、その表現の革新性や、わが国で初めてデパートで花展を開くといった手法の訴求力などによって、広まっていった。従来、華道は師匠が弟子の家に出向いて1対1で教える「出稽古」が中心であった。それを師匠の家などに大勢の生徒が習いに行くという新しいスタイルを確立したのが二世家元・小原光雲である。大正時代の最新メディアであるラジオで「いけばな講座」を放送したり、女性雑誌に取り上げてもらったりと、大衆にむけて開かれた存在となることを目指した。
出稽古の時代は、重要なことは師匠から弟子への「口伝」により伝えていたが、それをテキスト化、マニュアル化することで、教授法に革命をもたらしたのである。
知識は後からでも学べる
「まだ小さかったこともあり、家元を継承したという意識は、あまりありませんでした」と五世家元・小原宏貴はいう。3歳の時に父(後に四世を追贈)を亡くし、6歳で祖父(三世)も相次いで亡くしている。
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