シヤチハタ、スタンプ技術を活用して知育玩具に参入
スタンプを使った知育玩具という今までにないジャンルを切り拓いた、シヤチハタの「エポンテ」シリーズ。異業種からの玩具市場参入は、どのように成し遂げられたのか。
マル、三角、四角。シンプルな形のおもちゃを子どもたちがうれしそうに手に持つ。力を加えると形が変わり、それがまた楽しさを誘う。やわらかいブロックのようなこの玩具は、実は子どもの知育を目的に作られたスタンプだ。開発したのは、スタンプのメーカーとして誰もが知る企業、シヤチハタ。この「エポンテ」という商品シリーズで、2014年に本格的に知育玩具市場への参入を果たした。
「エポンテ」シリーズは、遊び方の異なる3つの商品によって構成されている。3つの色を重ね合わせて色彩感覚を育む「カラースタンプ」、3つの形を組み合わせて造形センスを高める「カタチスタンプ」、7つの形を組み合わせて論理数学的センスを育む「パズルスタンプ」。遊びを通して想像力と創造力を育む知育スタンプとして、発達心理学者の内田伸子・お茶の水女子大学名誉教授の監修により開発された。
想像力と創造力を育む玩具
スタンプ台やネーム印などオフィス向けの商品において、圧倒的なブランド力を持つシヤチハタ。これに続く柱として近年力を入れてきたのが、個人ユーザー向けの商品開発である。例えば、空のペットボトルに取り付ける鉛筆削り「ケズリキャップ」など、独創的な商品をヒットさせてきた。
その中で知育玩具に着目した理由は何だったのだろうか。舟橋正剛社長は言う。「当社が培ってきた技術を活かして新しい商品を作ろうとした時、私たちが注目したのが『子ども』と『知育』というキーワードでした。知育の重要性は、私自身が2人の子どもを育てる中で実感してきたことでもあります。楽しく遊ぶことができ、考える力を育む商品を作りたい。そう考えたのがきっかけです」
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