2000年に株式会社参入が解禁された保育市場。安倍政権の女性活躍推進の流れが加速し、参入障壁の撤廃が進んでいる。今後の市場動向と関連事業参入のチャンスを分析する。
保育所の待機児童数の推移

出典:厚生労働省資料よりみずほ銀行産業調査部作成
少子高齢化と言われて久しいが、保育サービスの市場は意外に大きい。みずほ銀行産業調査部は、2014年時点で認可保育所の市場規模を約2兆円と推計。しかし、この市場は9割超が行政と社会福祉法人により運営されており、一部の先駆的企業を除く民間営利企業にとってはほぼ手つかずの分野といえる。2000年の規制緩和によって株式会社も参入可能になったものの、現時点では株式会社が運営する保育園の数は全体の3%程度しかない。その理由を、みずほ銀行産業調査部の利穂えみり氏は、次のように説明する。
「まず、国からの補助制度の問題で、保育園の主な設置主体である社会福祉法人は施設整備費の4分の3が補助されていましたが、株式会社の場合は同じ補助が受けられませんでした。さらに、社会福祉法人は税制面でも優遇されています。このような制度上の差異に加えて、実際の認可権を持つ自治体が撤退リスクや保育の質の低下を懸念して株式会社の申請認可に消極的であるケースも多かったため、長らく参入が進みませんでした」

利穂 えみり みずほ銀行 産業調査部 調査役
潜在待機児童は85万人
民間企業の参入を困難としてきたこの仕組みに一石を投じそうなのが、2015年4月からスタートした「子ども・子育て支援新制度」だ。新制度による主な影響は3つある。
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