「品質カメラ」で食の安全を追求

「Q・B・B」ブランドのチーズで知られる、六甲バター。同社は食の安全・安心を追求し、フルHDの品質カメラシステムを工場に導入。高いレベルの品質保証を実現し、社員の意識を高めることにも成功した。

「見えないところでも、襟を正す」

「Q・B・B」ブランドのチーズなどを製造・販売する六甲バターで、大切にされている言葉である。同社は長年、その言葉のとおり、技術の細部にもこだわり、品質を追求した食品づくりを展開してきた。

しかし、食品業界で異物混入の問題が相次ぎ、近年、食の安全・安心を守るフードディフェンス(食の防御)への関心が高まる中で、六甲バターは、さらなる対策を検討することになった。取締役生産本部長兼稲美工場長・中山正夫氏は、こう語る。

中山正夫 六甲バター 取締役 生産本部長兼稲美工場長

「お客様に安心していただくために、原料搬入から製造、完成、出荷まで、すべての工程を可視化することで、食の安全・安心を担保する必要がありました」

六甲バターは品質保証を徹底するため、主力の稲美工場(兵庫県)に品質カメラシステムの導入を決定。十数社ものシステムを比較・検討し、最終的に日本テクノ・ラボの品質カメラシステム「FireDipper」を採用した。

「FireDipperを選んだ理由の一つが、フルHD(高画質)に対応していることです。これは譲れないポイントでした。高画質の映像により、作業員の詳細を視認でき、手の細かな動きまでを確認できるようになりました」

六甲バターは、工場に百数十台のフルHDカメラを導入。万全なフードディフェンスを実現した

1台1台の設置を入念に検討

六甲バターは、昨年12月から品質カメラシステムの試験的な導入を始め、今年3月に正式な運用を開始した。現在、稲美工場には、百数十台ものフルHDカメラが設置されている。食品メーカーとしては異例の規模と性能を誇るシステムだ。六甲バターでは、品質保証部門や製造技術部門、さらにはエンジニアリング部門など、現場の担当者が熱意をもってシステム構築に取り組んだという。

「導入時には部門横断的に意見交換を行い、カメラ1台1台について、どのようなカメラを、どこに何の目的で設置するかを検討していきました。また、今回SIを担当した横河ソリューションサービス、日本テクノ・ラボも積極的に要望を出し、一緒にシステムのつくり込みを進めました。そうした努力が、安全・安心を実現するシステムの構築につながったと思います」

フードディフェンス セキュリティゾーン設定の例

重要度に応じてゾーンを設定し、ゾーン間移動の際のルールを決める

社員の意識向上にもつながる

六甲バターは、品質カメラシステムの導入によって、作業員の手洗いや粘着ローラー掛けなど、定められたルールが守られているかを確認することが容易になり、作業員の意識の高まりによって手洗いの洗剤や粘着ローラーの使用量も増えた。また、設備の不具合の際に、原因の特定、対策の立案がスムーズにできるようになった。フードディフェンスの点では、工場内・施設内への入退出の履歴確認に万全を期すことができるのもメリットだ。

さらに、高画質の映像データは、取引先に対して、品質保証の資料や不具合発生時の証拠データになる。作業時の安全管理や、社員教育にも使うことができ、生産工程でのミス発生の実例を示すことにも活用できる。

「品質カメラは、消費者・社員に対する安全・安心面での対策手段の一つですが、非常に有効なアイテムだと思います。品質を守るためのツールはいろいろありますが、やはり大切なのは、社員の意識です。品質カメラを導入したことで、社員の意識の高まりにもつながりました」品質カメラシステムは、品質に対する理解の深まりを社内にもたらした。そして中山氏は、システムの導入は「ゴールではなくスタート」と語る。

「生産プロセスは、常に改善を繰り返しており、システムにはそれに対応できる柔軟性が必要です。FireDipperは、柔軟にかつ自在にカスタマイズできるソフトウェアであり、変化する生産現場に対応し、発展的に活用できるシステムです」

安全・安心の追求に終わりはない。六甲バターは、今後、稲美工場にカメラを増設するほか、長野工場にも品質カメラシステムの導入を検討するなど、さらなる品質を追い求めている。

顧客に合わせて自在にカスタマイズ

変化にも柔軟に対応する「FireDipper」

品質カメラシステムは、食の安全・安心を届けるために重要な設備だ。日本テクノ・ラボの統合映像ソフトウェア「FireDipper」は、メーカーを問わずカメラの統合管理が可能で、工場内の百数十台のカメラ映像をフルHD(1920×1080)の高画質で取り込み、ライブ映像表示と長期間の録画蓄積を行う。そして、映像の閲覧、録画再生という単機能だけではなく、運用シーンで必要とされる機能を顧客とともに検討・試行し、現場に合ったより使いやすいソフトウェアに仕上げる。こうした自在なカスタマイズを柔軟に行えるソフトウェア構造が、「FireDipper」の特長だ。工場では、食の安全・安心を届けるため、日々、運用形態の見直しや業務改善等の変化が続く。当然、システムも日々の変化に対応し、進化し続ける必要がある。「FireDipper」は、こうしたニーズにタイムリーに対応し、カスタマイズして提供することができる。「FireDipper」は、食の安全・安心を届けるフードディフェンスはもとより、国際空港、原子力発電所、高速道路、国道・河川、港湾、警察など、公共施設の映像インフラとして、多くの企業・施設で利用されている。

「FireDipper」の特長

  1. ▶マルチカメラベンダー対応 特殊カメラを含む国内主要カメラを混在して統合可能
  2. ▶ミッションクリティカル環境 24時間365日安定したシステム稼動を実現
  3. ▶センサー連携対応 動体検知や火報及び各種センサーと柔軟に連携
  4. ▶多くのカスタマイズ実績 純国産のソフトウェアで柔軟なカスタマイズ対応

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