「印刷」を起点に生産性を向上
紙からの情報漏えい対策に力を注ぐ日本製紙は、認証印刷システムによって、印刷物の放置を撲滅。プリンターの最適配置も実現し、コストの削減につなげた。
数多くの紙製品で国内トップシェアを誇る日本製紙。同社の情報システム部は、2013年3月の本社移転を機に、オフィスのIT環境の見直しを行った。その目的の一つが、情報セキュリティの強化だ。情報システム部主席調査役・福中智彦氏は、こう語る。
「当社では、PCからだけでなく出力された紙からの情報漏えい対策についても検討を進めており、放置される印刷物の撲滅、および万が一を想定した印刷ログの取得を実現するため、認証印刷システムの導入の必要性を感じていました」
情報システム部では、各社の認証印刷システムの比較・検討を行った。その結果、選ばれたのが、日本テクノ・ラボの認証印刷システム「SPSE」だ。
「『SPSE』を採用したポイントは、主に4つです。一つは、既存のIT資産を有効に活用し、使用感の変更なく、プリンターメーカーの標準ドライバーによる安定動作が行えること。次に、ジョブのモニタリング、ログ管理が容易に行え、長期間ログが保存できること。さらに、大規模導入の実績が豊富であること。最後に、認証印刷にありがちな、メーカー品質からの印刷品質の劣化(文字化け、罫線かぶり、罫線抜けなど)、速度遅延の問題が発生しないことです」(同部主任・藤田正人氏)
印刷のコストを大幅削減
日本製紙は、本社5フロア、1000人規模の新オフィスに「SPSE」を導入。併せて、各フロアでプリンターの置き場所を集約し、最適配置を実現した。各プリンター・コーナーには、認証端末となるカードリーダーと、印刷ジョブの出力・削除などを操作するタッチパネルが設置された。
「認証印刷によって、印刷ミスのプリントを出力前に削除できるようになったことや、複数部署での印刷機器の共有が可能になったことで、印刷にかかるランニングコストが大幅に削減できました。また、導入前に見受けられた印刷物の放置は完全になくなり、セキュリティ面でも効果をあげています。システムの安定性も高く、法定点検で電源を落とす以外でSPSEを再起動したことは記憶にありません。印刷品質は『SPSE』を介しても劣化するようなことは無く、また対応するアプリケーションやプリンターを気にする必要もないため、システムを長期に利用できます」(同部主席調査役・富樫好範氏)
日本製紙では、「SPSE」によって約1000人もの印刷ログを安定的に保持。誰がいつ、どこから、何を印刷しているかを容易に把握できるようになった。同時に、認証された社員がどのプリンターからでも印刷物を受け取れるようになったことで、生産性の向上も実現したのである。
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