33歳の若き町長が挑む地方創生 鍵は「住民の創造力」
丹後ちりめんの産地で有名な京都府与謝野町は、デザイナーの田子學氏をクリエイティブディレクターに招き、「与謝野ブランド戦略事業」をスタートした。仕掛け人の山添藤真町長は33歳。若き町長に地方創生へのアイデアを聞いた。
日本海に面した丹後半島の付け根に位置する京都府・与謝野町。俳人の与謝蕪村や与謝野鉄幹・晶子のゆかりの地でもあり、高級織物「丹後ちりめん」の産地として発展した歴史を持つ。しかし、地域経済を牽引してきた織物業が、着物需要の低迷や輸入織物の増加を背景に、1970年台をピークに下降線をたどるようになり、町からかつての賑わいが失われていった。
地域産業を立て直し、町の活気をどう取り戻すか ――。そのために必要なのは、「主体的に行動を起こす若い住民の力だ」と、山添藤真町長は力を込める。2014年に全国最年少(当時)で町長に当選。若さとチャレンジ精神に託したいという住民の期待が垣間見える。
「30歳の成人式」発起人
山添氏は江戸時代から続く丹後ちりめん織元の長男。高校を卒業後、建築家を志してフランス国立建築大学パリ・マラケ校に進学する。この時、政治の道を志す大きな契機が訪れた。
「パリとブリュッセルで開催された丹後展に通訳として参加したとき、遠く離れた異国の地にいることで、故郷の深刻な現状を初めて客観的に捉えることができました」。社会と与謝野町をアーキテクト(設計)するために、その後はフランス国立社会科学高等研究院に編入し、政治学や哲学を学んだ。
与謝野町議員時代からアイデアと行動力に定評がある。例えば、全国に普及しつつある地域活性化イベント「30歳の成人式」は、山添氏が発起人メンバーだ。経験を積んだ30歳を本当の成人と定義し、成人式を生まれ育った「地元」で開催することで、新たなつながりを生み、故郷を考えるきっかけとするイベントで、2012年に与謝野町で初めて開催。その後は福岡、神戸、横浜など各地に広がっている。「地域活性化には、町外で暮らす出身者など、潜在住民を引き寄せることがカギになる」と山添氏は言う。
全文をご覧いただくには有料プランへのご登録が必要です。
-
記事本文残り66%
月刊「事業構想」購読会員登録で
全てご覧いただくことができます。
今すぐ無料トライアルに登録しよう!
初月無料トライアル!
- 雑誌「月刊事業構想」を送料無料でお届け
- バックナンバー含む、オリジナル記事9,000本以上が読み放題
- フォーラム・セミナーなどイベントに優先的にご招待
※無料体験後は自動的に有料購読に移行します。無料期間内に解約しても解約金は発生しません。