創業に役立つネットワーク 「前職」のつながりが有益

企業家活動における社会ネットワークの重要性に注目が集まる。家族、子供を通じたママ友、学生時代の同窓生、前職の取引先など、多様なネットワークがある中で、どのようなつながりが創業時に有益だろうか。
文・鹿住 倫世 専修大学商学部教授

 

企業家活動のプロセスや経営活動と事業の成否、成果に関する研究は多数あるが、最近、企業家の人脈や社外の人との協働、経営チームの人選等に注目が集まっている。なぜ、企業家活動において、このような人と人とのつながり、つまり社会ネットワークが重要だと認識されているのだろうか。

なぜ創業時に社会ネットワークが必要なのか

企業家活動において、不足する経営資源の調達で問題になるのが、情報の非対称性と不確実性である(Shane、 2003)。経営資源を市場から調達する場合、企業家は革新的な事業を行うため、その実現可能性やリスクなどについて資源の出し手との間に情報量の大きな隔たりができる。同様に、新たな事業ほど成功モデルがないため、不確実性も高くなる。その結果、企業家は市場から資金や設備や人材を調達することが難しくなる。

取引関係の構築についても同様の課題が存在する。山岸俊男(1998)によれば、これまでのいわゆる「日本的経営」のもとでは、特定の相手との間に安定した取引関係を確立することが重視されてきた。その方が「取引コスト」の節約になるからである。しかし新たな相手との取引の方が利益を得られるような状況になると、閉鎖的な集団の枠を超えた他者一般に対する信頼を持つことが必要になる。革新的な事業が数多く創出され、新規参入企業が増加して社会的不確実性(相手の意図についての情報が不足している状態)が増大すれば、それだけ信頼が重要になるということである。

企業家が「信頼に値する」と評価してもらうためには、取引関係構築以前に実際に接触し、言動に触れてもらう必要がある。人と人とのネットワーク、つまり社会ネットワークの構築が必要なのである。企業家活動における企業家の社会ネットワークの重要性はここにある。

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