「鉄道王」根津嘉一郎から 受け継がれるフィランソロピー

「鉄道王」と称され、一代で根津財閥を築き上げた実業家、初代・根津嘉一郎。彼の膨大な数の古美術コレクションは、青山の邸宅跡にある美術館に所蔵されている。都心であっても文化的な奥深さを持つ青山について、初代の孫にあたる現館長に聞いた。

美術館の正面からのアプローチ ©藤塚光政

元々は根津邸であった美術館

根津美術館は、東武鉄道など東武グループを一代で築きあげた実業家、初代根津嘉一郎(1860-1940)が蒐集した日本と東洋の古美術品コレクションを保有・展示している。本人の遺志により、長男の二代根津嘉一郎が、1940年に財団を創立、翌年根津邸に根津美術館が開館した。戦災で展示室や茶室などを含む邸宅は焼失したが、収蔵品は疎開していたために無事で、終戦の翌年には展示を再開している。

「当時は青山といっても赤坂村の一部で、祖母からはキツネやタヌキが出るような田舎だったと聞いています」と語るのは現館長で東武百貨店名誉会長の根津公一氏。初代根津嘉一郎の孫にあたる。

初代は山梨県に生まれ、家業の商家の切り盛りや県会議員などを経て上京し、鉄道事業や電力事業などインフラ事業で成功をおさめる。国会議員も務めるなか、1906年に手狭な神田から引っ越したのが南青山であった。1万5000坪もの敷地に日本庭園や茶室が配されていた。

「祖父は大変気性の激しい人物で、それゆえに、様々な事業を再建し、成功をおさめたともいえますが、身近にいた父は大変だったようです」

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