「レジリエンスとは何か」 リスクから新規事業の気づきを

「レジリエンス」という言葉をよく耳にするようになった。たとえば日本政府の国土強靭化は、「ナショナル・レジリエンス」と訳されている。また世界経済フォーラムの「グローバルリスクレポート2013年版」ではレジリエンスがメインテーマになり、グローバルリスクに対する具体的なアプローチとしてレジリエンスの概念が応用された。

レジリエンスとは、もともとは物理用語のひとつで、しなやかな強さを意味する。その概念は生態系と心理学の分野でそれぞれ発展してきたが、ここ数年で教育、防災、地域づくり、温暖化対策など複数の分野に広がっている。

経済や環境の国際会議に多数参加する枝廣淳子氏は、日本におけるレジリエンスの重要性が高まっているという。

「不確実で不安定な要素が多い時代。生き抜く上で、個人にとっても、組織や地域、社会にとっても、レジリエンスは大事な概念。経済や自然災害など不安を抱える日本でも広がってほしい考え方です」

枝廣氏は10年前からこの概念に注目し、さまざまな分野の考え方や世界での取り組みを検証してきた。著書の『レジリエンスとは何か』では、レジリエンスの要素として、「多様性」「モジュール性」「緊密なフィードバック」の3つを挙げた。

「レジリエンスは、『短期的な効率主義』の対局にある考え方です。多様性を求めることは、一見コストがかかり、無駄が多いように見えます。しかし長期的に社会に必要とされる事業を構想することができ、事業立ち上げの際にレジリエンスを考えることは重要です」

レジリエンスとは何か--何があっても折れないこころ、暮らし、地域、社会をつくる
枝廣 淳子(著)
東洋経済新報社
本体1,700円+税

レジリエンスを高める事業構想とは

一方で、レジリエンスを基点に社会課題やリスクを考えると、事業のアイデアや新たな気づきにつながる。

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