土地は未来を良くする果実の源泉

ゲスト・神戸雄一郎氏 (かんべ土地建物 代表取締役副社長

 

神戸雄一郎氏(かんべ土地建物 代表取締役副社長)、右)筆者

―1930年創業のかんべ土地の三代目、神戸雄一郎氏。大井町といえば、かんべ土地というほど、品川区では知られています。本日は、先行きが読みにくい日本の不動産市場と貴社のこれからについて伺いたいとおもいます。

神戸氏: よろしくお願いします。そういえば、ケンケン(WDI清水社長)がスティーブによろしくとのことです。

―そうですか。彼とはお互いの予定がなかなかあわず会えていませんが、このお店(センチュリーコート丸の内)は清水君のお店なのですね。気づきませんでした。

神戸氏: ええ、そうです。この前、スティーブに連れていってもらった東京倶楽部とは雰囲気は違いますが、なかなかいいお店でしょ。

―素敵なお店です。少し前ですが、ある出版社の人たちに六本木のウルフギャング・ステーキハウス(同じくWDI経営)に連れていってもらったのですが、その時わざわざ彼がテーブルまで来てくれて、再会を果たせました。

神戸氏: それはよかったですね。では、乾杯といきましょうか。

―チアーズ。さて、かんべ土地といえば、大井町です。この前、御社にお邪魔しましたが、僕が日本に住んでいた頃と比べてずいぶん街が変わったな、と感じました。

神戸氏: ええ、ずいぶん様変わりしました。近年、大井町は交通の便の良さからも注目されています。以前からJR京浜東北線と東急大井町線が通っていましたが、2002年にりんかい線が全線開通してからは3線が使えるようになりました。りんかい線は、埼京線が延長され臨海地区経由で新木場まで通っているため、渋谷まで10分、新宿まで15分で行けます。りんかい線で国際展示場へのアクセスが良いことや羽田へのアクセスが良いことから出張者の宿泊ニーズが高く、現在2000室以上のホテルが稼働しています。また京浜東北線で丸の内など都心部にダイレクトで行けるので、通勤に便利な住宅地としての人気も高まっています。2010年に劇団四季の劇場が開業し、1回の公演で1000人以上の人が行き交うようになりました。乗降客数は30万人にも上るそうです。ただ単に乗り換えで通過する人が多いのも事実ですので、今後は目的をもって大井町に来てもらうための仕組み作りに着手していきたいと思っております。

―なるほど、それが神戸さんのおっしゃる「街づくり」の意味するところなのですね。

神戸氏: はい、街づくりへの貢献は2通りあります。事業を通して行うものとボランティアでやっているものがありますが、これらは相互に密接に結びついています。 事業としては、長年、街の人たちや外部利害関係者のニーズに応じて、商業施設やホテル、住宅等を開発してきました。店舗でも「大井町にしかない」といえる個性のあるお店をピンポイントで誘致していきます。不動産情報についても地元での情報収集を重点的に行い、より正確にスピード感をもって対応しています。 一方、ボランティアとしては、「NPO法人まちづくり大井」に参加し、定期的に大井町の人々と意見交換し、様々なイベントの企画運営を行っています。それ以外にも、社員有志と外部ボランティアにより「大井町フラワープロジェクト」という活動も行っており、「大井町を花で埋め尽くそう!」を合言葉に、自分達の手で花を植えています。これはイギリスにある“ゲリラガーデニング”というものにヒントを得たものです。 こうやってそれぞれの立場で、できることをやっていくことで相乗効果があると考えています。

―英国のゲリラ・ガーデニングというのは、地権者の許可なく勝手に植物を植えていくことなので、たぶん神戸さんたちの活動とは少し違いますよね。

神戸氏: その意味では違いますよね。許可は得ているので違法行為はありませんが、「街を花で埋め尽くそう」という市民の心意気という意味では似ていると思います。

―確かにそうですね。「できることから始めよう」という姿勢は素晴らしいと思います。さて、貴社は今年で創業85周年を迎えるそうですが、これまでの歩みを簡単にご説明いただけますか。

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