2015年5月号

災害に強い街づくり

マイナンバー 防災面への活用

月刊事業構想 編集部

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2011年3月11日の東日本大震災では、多くの人々が被災し、被災者も避難所も非常に広域にわたり分散していったが、救援物資などを速く効率的に配分するため、マイナンバーの防災面への活用を考える。

平成27年10月に住民票を有する国民の一人一人に12桁のマイナンバー(個人番号)が通知される。社会保障、税、防災の分野で効率的に情報を管理し、複数の機関に存在する個人の情報が同一人の情報であることを確認するために活用されるもので、平成28年1月から、行政手続にマイナンバーが必要となる。

これら社会保障、税、防災に関しては、別途条例を定めることで、その中に、防災については、「被災者生活再建支援金の支給に関する事務その他地方公共団体の条例で定める事務等に利用できる」と各自治体の実態に即した運用ができるようになっている。


多くの救援物資も必要としている人に適切に届く事が重要

誰がどこにいるか把握できず、必要なモノが適切に届かない

2011年3月11日の東日本大震災では、多くの被災者が発生し、避難所も非常に広域にわたり分散していったが、分散してしまった各避難所では何が起こっていたのか。以下は、2013年12月5日開催の、新戦略推進専門調査会防災・減災分科会(第2回)資料3からの引用である。

  1. ・携帯電話などの通信手段が使えなくなり、被災者が避難所などで
     家族を探し回ったり、張り紙をして連絡を取ろうとした。
  2. ・自治体として組織的な情報の収集発信に時間を要した。
  3. ・避難所に多数の住民が避難し、食料調達など多種多様な業務が同時に発生し、
     当初から組織的に避難者の情報を収集することが難しかった。

これ以外にも、人の派遣や救護・救援物資が、本当に必要なところに、必要量が届かなかったり、逆に不要に多い物資が配分されてしまったりといった非効率な事態も発生してしまった。

これらのことから、誰が、何人、避難所にいて、それらの人々が男性なのか女性なのか、大人なのか子供なのか、若い人なのか年配者なのか、健常者なのか要介護者なのか、避難所の円滑な運営には、これらの基本的な情報が欠かせない。また、特に大きな災害時には、避難を強いられている方々の動きは非常に流動的であり、避難所は、広い地域、地区に広がりやすい。しかし、迅速な支援や復興のためには、そのような状況下でも、常に最新の状況を把握することが必要である。

たとえば、各避難所ごとに出退所の管理をする簡易的な機器やシステムを備えれば、誰が、どこにいるのか、把握することができる。マイナンバーを防災面に活用することで、効率的な人の派遣や救護、救援物資の配分ができるようになる。また、他の自治体との連携にも大きな役割を果たすことが期待される。移動の履歴を把握しておくことで、復興が進んだ街から、本人へ情報発信や連絡が可能になることも考えられる。災害発生後から復興の初期段階でやらなければならないことは、非常に多岐にわたるがそれらをスピードを持って、効率的に実施するには、やはり正確な情報が必要である。マイナンバーを防災面に活用することで、これらを早急に実現するための大きな役割が期待される。

被災者の負担を軽減する「被災者台帳」

上述の通り、災害が発生してからは、迅速・適確・効率的な支援が必要になるが、政府も具体的な法整備を行っている。

災害対策基本法を改正し、「市町村長は被災者台帳を作成できる」と明文化した。被災者台帳は、被災者支援について「支援漏れ」や「手続の重複」をなくし、中長期にわたる被災者支援を総合的かつ効率的に実施するため、個々の被災者の被害状況や支援状況、配慮事項等を一元的に集約するものである。被災者台帳を活用することで、従来、申請に当たって罹災証明書の添付を必要としていた支援施策(当該市町村業務)について、罹災証明書の添付を不要とする運用も可能となる。(内閣府防災情報ページより引用)罹災証明書の添付が不要となることで、申請手続きの期間が短縮されるので、当面の生活に必要な支援金の給付も迅速化され、被災者台帳を作成する事は、被災者の負担軽減につながる。そもそも、大きな災害では、書類の発行元である役所が機能不全に陥っている可能性もある。証明書がないと支援金支払の手続きが進められないのに、証明書自体を取り寄せることができるかわからない、いつになるかわからないという状況から引き起こされる精神的な不安を取り除くことも期待される。

行政から住民への丁寧な説明と理解を深めてもらうことが必要

個人情報は各地方公共団体の個人情報保護条例において情報の取得が厳しく制限されておりマイナンバーも基本的には同じである。人身や財産を守るためであったとしても、“緊急時”でないと入手することが困難である。災害発生時の事務手続きの為に、マイナンバーの使用が可能となるが、やはり、個人情報漏洩に対する住民の不安は大きい。そのためには、災害発生という緊急の状況下において、マイナンバーが、被災者の方々への迅速・適確・効率的な支援、生活再建に大きな役割を担うということを、日頃より、行政から住民へ、上手に丁寧に説明を行い、啓発し、理解を深めていくこともとても重要なことである。

誰がどこにいるのか、張り紙しか情報がない避難所が多くあった

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