エネルギー自給160%の町 「地域課題」をエネルギーに変換
町の人に「厄介者」と見られていた強風、悪臭の源として問題視されていた牛の糞尿。これらを「天地のめぐみ」と捉え直し、エネルギーに変えた岩手県葛巻町は、エネルギー自給率160%に達し、観光客が50万人訪れる町に変貌した。
まだ「再生可能エネルギー」という言葉すら一般的ではなかった1999年3月。岩手県の葛巻町(くずまきまち)では、「葛巻町新エネルギービジョン」が策定された。
岩手県の中部に位置する葛巻町は人口約7000人、人間の数より牛の数(1万頭)のほうが多く、森林面積が86%という酪農と林業の町だ。「葛巻町新エネルギービジョン」は、この長閑で自然豊かな土地で、風力や太陽光などを「天のめぐみ」、酪農の糞尿や間伐材などを「地のめぐみ」、葛巻の豊かな風土・文化を守り育ててきた「人のめぐみ」を三本の柱に据え、地域資源を循環させて活用しようという当時の日本でも先端的なものだった。
そしてビジョンの策定から16年が経った今、葛巻町は牛の糞尿と町内中心部から出る生ごみを発酵させてエネルギーを得るバイオガス発電と、風車15基による風力発電による総発電量が町の消費電力を大きく上回り、エネルギー自給率160%という日本でも屈指のクリーンエネルギー先進地域となっている。
「厄介者」の風を有効活用
葛巻町が再生可能エネルギーを導入する契機となったエネルギービジョンは、いかにして生まれたのだろうか?
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