なぜ日本企業の海外戦略は失敗してしまうのか

海外事業を成功させるためには、どのようなポイントを押さえる必要があるのか。多くの企業で海外事業戦略の策定と実行支援を手掛けるエキスパート、河瀬誠氏が正しい戦略のあり方を語る。
text by Makoto Kawase

 

急激な変化を続けるアジア・新興国の国々。日本人の多くは、そのダイナミズムをまだ理解できていない(写真は、中国・西安) Photo by Danielinblue

成長するアジア・新興国における事業戦略を考える第一歩は、頭の中にある20世紀の「常識」を捨て、21世紀の「新しい常識」で考えることです。

日本人の多くは、日本はアジアでもっとも生活水準の高い唯一の先進国だという20世紀の常識を疑いません。

しかし21世紀には、日本以外にも、裕福な中産階級を中心とした巨大な市場がアジアに登場します。2010年にGDPで日本を抜いた中国は、2013年には日本の2倍の規模に急成長しました。東南アジア各国も軒並み年10%近い急成長を続けています。

すでにおよそ1億人いる中国人の中流階級の生活水準は、日本人とあまり変わりません。東南アジアのタイでも、部長クラスの給与水準は、同格の日本企業の部長クラスの給与水準より高くなっています。

河瀬 誠 エムケー・アンド・アソシエイツ代表

日本企業の優位性は消滅

また、20世紀ならば、「安くて良いもの」は、実質的に日本企業にしか提供できず、競争力がありました。しかし21世紀の今、「安くて良いもの」は、中国や韓国など他国の企業も提供しています。中国企業の技術力も、今では日本企業と対等レベルの場合も少なくありません。日本製品の優位性の「神話」は、すでに消滅しています。

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