日本を見つけ直すデザイン 潜在する「美意識」をカタチに

デザインとは、潜在している可能性を眼に見えるかたちとして具体化すること。デザイナー・原研哉氏は、日本が育んできた「美意識」こそ、未来をつくりだす「無形の資源」であると語り、その可能性をデザインする。

原 研哉 デザイナー

海外に出かけ、帰国する回数を重ねるうちに、気づかされることがあります。日本独特の「美意識」の存在です。

たとえば成田空港や羽田空港に到着すると、トイレの隅々まで掃除が行き届いているし利用者のマナーもいい。街頭もオフィスも照明が切れたり明滅していたりせず、管理が徹底していて、それが夜景の美しさにつながっている。道路にしても水勾配から自転車用スロープのつくり方まで、これほど緻密に設計されている国は見たことがない。

日本の都市は、ともすれば没個性的に見えるかもしれません。しかしそこには、緻密、丁寧、繊細、簡潔とでも呼ぶべき美意識が潜んでいて、これは千数百年の歴史の中で、日本が育んできた無形の資源なのです。この資源を、未来にどう活かしていくかを考えなければなりません。

「半島航空」を仮想してみる

日本の半島と半島を結びながら運航する架空の航空会社「半島航空」。半島は、三方を海に囲まれた自然が豊かな場所であり、多くの人を惹きつける潜在力を持つ。原氏は、そうした新しい観光のかたちを「海・空・都市のデザイン」展で可視化した

大きな可能性がある分野の一つは、観光です。観光は最大の産業であり、純粋な貿易です。

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