核燃料や放射性物質は何処へ行くのか?

人工物全体のライフサイクルを地球全体のスケールで考えた徹底的な議論と、実証が必要―50年後にも残っているセシウム137をどのように理解し、どのように次世代のことを考えて未来のことを考えるのか?

異常を発見し見方を変える

それは同位体組成比の異常を示すデータから始まった。1972年5月、フランスのウラン濃縮施設で、中部アフリカ・ガボンのオクロ鉱床産出のサンプルのウラン235同位体比に大きな差異があることが見つかった。ウラン235とウラン238とは中性子による核分裂反応の性質が大きく異なるため、ウラン濃縮施設ではウラン235とウラン238のわずかな質量の差を利用して多段の濃縮を実施している。太陽系や地球ができた時に十分に混合されたため、天然ウランの同位体比は鉱石に依存せず0.7202%である。ところがオクロ鉱床のサンプルは0.7171%だった。

オクロのウラン鉱床の形状(左図)と天然原子炉の核反応シミュレーション計算(J.J.Royer氏提供)

フランス原子力庁はウラン235同位体が兵器に流用されていないことをはっきりさせるために調査をした。現在では核テロへの対策として真剣に研究開発が進められている核物質防護(セーフガード)、核鑑識という視点である。

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