データサイエンティストの育成

データサイエンティストの育成はチームによる相互補完が大切だ。小さな仕事から機械学習を適用して大きく育て実績をつくる。経営者には提案を実行する勇気も求められている― 楽天執行役員の森正弥氏に、データサイエンティストの育成と活用について聞いた。

楽天 執行役員・楽天技術研究所長
森 正弥氏

取り扱いアイテム数が1億点を超える楽天市場。ビッグデータの中から製品別の消費者ニーズをいち早く探り出し、商品情報をリアルタイムで更新し売り上げを伸ばす。

その一翼を担うのがデータサイエンティストだ。

執行役員で楽天技術研究所所長の森正弥氏は「ユーザーの多様化は今後さらに加速します。同じユーザーでも、店舗にいる際と、自宅のリビングにいる際、街中にいる際では購入ニーズが変わります。そうして、新たなオンリーワンのニーズが増加し、これまで以上にロングテールの形成が進みます。このロングテールのどの部分をビジネスの対象とするかで戦略も変わってきます」と語る。

例えば、ランドセル。購買シーズンはこれまで新入学前と一般に考えられ販促もその時期に集中して行われてきた。

しかしビッグデータの分析で8月のお盆の頃にも需要の山があることがわかり、販促シーズンの検討に反映した。

こうした結果はすぐに数字に跳ね返る。

このマーケティングを行ったのはたった一人のデータサイエンティスト。

経験に基づく仮説を立てて各種データを分析・検証、社内会議、クライアントと話し合いを重ねて販促手法のPDCAを回す従来の手法と比較にならないコストパフォーマンスが発揮された例だ。ロングテール化が進み商品点数が多くなると、従来手法の下では仮説の検証に限界が生まれる。オペレーションコスト、機会損失は大きい。

楽天では、データサイエンティストと共に、「ランキングの更新頻度を上げると売り上げが上がる」「商品カテゴリーの分類が多いほど売り上げが上がる」など、即効性のある販促策を見出してきた。ビッグデータを扱えるデータサイエンティストは、まさに企業が生き延びるための必要不可欠な人材なのだ。

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