高架下を活用 JRが福祉に参入
今年3月、JRが保育所と介護施設が一体化した複合型福祉施設がオープン。手がけたのは、ジェイアール東日本都市開発。駐車場を福祉施設に変え、手応えを得ている。
JRのエキナカ・エキチカにある商業施設の開発・運営や高架下のスペースの開発・管理などを行っているジェイアール東日本都市開発。同社は今年3月、吉祥寺駅と西荻窪駅の間の高架下スペースに保育所、運動・リハビリ特化型の通所介護施設、通所介護施設・訪問入浴介護事業所が一体化された複合施設「COTONIOR吉祥寺(コトニア吉祥寺)」をオープンした。これまでも高架下に介護施設や保育所を開設してきたが、子どもと高齢者の福祉施設を併設するのは初めての試みとなる。
実現までにはハードルも
約1900の敷地は、第一種低層住居専用地域という法規制のため、もともと商業施設ではなく一般向けの月極め駐車場として使用されていた。しかし、稼働率があまり高くなかったため、土地の再利用を考えた時に駅からの距離、住宅地にあるという立地などの条件から「COTONIOR吉祥寺」の案が生まれてきた。
「近年、核家族化で子どもがお年寄りと触れ合う機会が少なくなっていること、高齢化が進んで介護施設を利用するお年寄りが増えていることが背景にあります。そこで、子どもと触れ合うとお年寄りの方々も元気が出るという話もよく聞いていたので、一体型にすることで付加価値を高め、より皆さんに行きたいと思っていただける施設にしたらどうかというところから話が進みました」(開発事業本部開発調査部 菅井亜沙美氏)
このアイデアの実現までにはいくつかのハードルがあったという。同社の事業はコンセプトを決めて、建物を事業者に貸し出すこと。実際に施設を運営するのは保育、介護の各事業者になる。事業者を募るにあたり、「一体型施設は高齢者や幼児という免疫力の弱い方の集まりだから、誰かが病気になったら一気に広がるリスクがある。そういう提案を事業者にしてもうまくいかないだろう」という声があがった。
また、事業者からは「保育園は駅から近いことが重要。出勤する途中で子どもを預けられる駅直結型が魅力的なので、COTONIOR吉祥寺は少し遠い」という指摘もあった。
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