介護ロボットに世界が注目

超高齢化社会に対応するため、要介護者の自立支援、介護業務の支援、メンタルサポートなど多様な分野で、ロボットの開発が進んでいる。将来の輸出産業としても注目を集める。

介護の現場での使用を想定したロボットの開発には国も力を入れている。

6月には経済産業省がロボット介護機器の展示会を開催し、大臣が視察。8月には、厚生労働省が介護ロボットに関する相談窓口を開設した。一般の問い合わせから開発にかかわるものまで幅広く対応するだけでなく、実用化にむけたサポートも受けられるという力の入れようだ。

介護ロボットの用途は、大きく3つに分けられる。歩行・リハビリ・食事・読書など介護される側の自立を支援するロボット、移乗・入浴・排泄など介護業務の支援をするロボット、コミュニケーション・セキュリティ型のロボットの3種類だ。

[自立支援型]リハビリの機能回復訓練をアシスト

WPALの歩行器。直感的で簡単な操作を可能で、歩行者に余分な負荷がかからないようになっている提供:アスカ株式会社

自立支援ロボットの分野には、トヨタやホンダ、スズキ、パナソニック、セコムなど大手企業が続々と参入している。特に、移動のアシストに関しては、歩行をサポートする装着型、電動車いすが進化したパーソナルモビリティ型など各社がさまざまなロボットを開発している。そんななか、今年2月、他社とは毛色の違う「医療用」のロボットを市場に投入したのが、愛知県で自動車部品や配電盤、産業用ロボットシステムの製造・販売を手がけるアスカだ。

アスカが開発したのは、脊髄損傷などによって対麻痺と呼ばれる両足に運動麻痺を抱えた障害者のリハビリ用機能回復訓練ロボットである。なぜ、畑違いのリハビリ用ロボットを作ることになったのだろうか。

「2000年に、弊社の産業用ロボットシステムの技術を別の分野に応用するため、開発本部が創設されました。その時、弊社の近くにある藤田保健衛生大学の方からモーターを使って対麻痺の方の歩行をアシストできないかという話になり、開発を始めたのがきっかけです」(アスカ開発本部・武満知彦氏)

潜在需要を狙い大手と差別化

もともと対麻痺の患者は専用の装具をつけて歩行訓練をしていたが、ひざも足首も全て固定し、コンパスのように身体を左右に大きく動かしながら足を前に運ぶという形だった。しかし、患者はまず車いすから自力で立ち上がって装具を着けることもできないし、無理な体勢での歩行のため長距離も移動できない。その課題を解決するロボットを作ることになったのだが、それは険しい道のりだった。

「医師や理学療法士、義肢装具士と協力して開発を進めましたが、互いの専門知識や言葉が全く違ったので、最初はコミュニケーションに苦労しました。技術的には、対麻痺の方は車いすでの生活がベースなので、車いすに座ったまま着脱できなくてはいけない。

そうなると股の内側にモーターを納めることになり、その部分の開発に時間と費用がかかりましたね。毎週、性別や体型の違う7名の患者さんに装着してもらい、どう足を動かしたらスムーズに移動できるのかを研究しました」

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